平成30年度 岡山医療センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 2782 487 328 481 671 1037 2576 3792 2514 465
 当院は、地域医療支援病院、総合周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院として、また国立病院機構としての政策医療(がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、救急医療、災害時医療、周産期医療、小児医療 )、移植医療(腎移植、骨髄移植)、運動器医療、難病医療 など総合的で高度な急性期医療を提供しています。
 平成30年度の全退院患者数は15,133人です。中でも最も多い年齢層は70歳~79歳が多く3,792人となっています。割合としては高齢者が多く、60歳以上の患者数が61.8%を占めています。
 また、総合周産期母子医療センターを有していることから、0歳~9歳の患者数も2,782人と多く、全体の18.4%を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
小児科・新生児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし 271 5.24 6.14 0.74% 1.88
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 215 3.46 5.42 0.00% 3.22
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 171 6.11 5.71 0.58% 3.37
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 134 5.55 6.62 0.75% 3.66
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 117 4.93 6.19 0.85% 1.13
 当科では、肺炎、気管支炎といった呼吸器感染症の症例が多くなっています。肺炎の患者さんの平均年齢は4歳未満であり、小さなお子さんの呼吸器治療の重要性が分かります。RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス。インフルエンザなど明らかなウイルス性呼吸器感染症の患者さんの平均年齢は2歳前後であり、さらに低年齢傾向にあり、当院ではNICU退院後の呼吸器疾患が重症化しやすい患者さんも多く特に発症後早期に対処する必要があります。また、上記表には示されていませんが、次に多いのは痙攣を主とする神経疾患です、また、上位3位には入りませんが、内分泌・代謝疾患はその地域における疾患総数からするとかなりの頻度になっています。
 なお、退院後はかかりつけの医院に退院後のフォローをお願いしており、小児科から他の病院に転院することはめったにありません。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 169 18.91 26.30 82.84% 82.12
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 121 16.73 22.27 16.53% 70.87
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 117 19.85 21.39 25.64% 69.46
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 116 18.97 24.26 34.48% 75.37
070343xx99x1xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2 1あり 108 2.00 2.79 0.93% 71.54
 当科では、脊柱管狭窄症の治療で入院される患者さんが多くいらっしゃいます。脊椎外科は当院整形外科における特徴のひとつで、全国から患者さんが集まっております。さらに、脊椎の領域でも高齢者によく認められる変性疾患である脊柱管狭窄症やすべり症に対する手術を受けられる患者さんや、椎間板ヘルニアに対する手術患者さんが多く認められております。
 また、近年の高齢化社会を反映して、骨粗鬆症を基盤とした高齢患者さんの転倒受傷による大腿骨近位部骨折や、膝関節の軟骨が摩耗することにより生じる、変形性膝関節症に対する人工関節手術を受けるための入院患者さんが多くなっております。術後早期からのリハビリテーションで、早期に生活動作獲得を目指しておりますが、十二分な活動性を獲得するために、転院してリハビリテーションを継続される患者さんも約半数おられます。また大腿骨近位部骨折の患者さんは、可能な限り受傷早期に手術を行い、術後問題なくリハビリテーションが可能な状態になれば、ほとんどの患者さんが地域連携パスを利用してリハビリテーション専門病院へ転院することが多くなっております。
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 513 2.83 3.01 0.78% 72.41
04026xxx9910xx 肺高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 338 3.45 5.42 0.30% 64.62
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 260 4.05 4.47 1.54% 73.73
04026xxx01x0xx 肺高血圧性疾患 経皮的肺動脈形成術等 手術・処置等2 なし 80 9.70 7.57 0.00% 66.26
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 55 19.36 17.66 12.73% 80.60
 最も多い症例は、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患に対するカテーテル治療・カテーテル検査目的の入院で、全入院患者さんの3分の2を占めます。多くは心臓病専門施設では対応困難な複数の疾患が併存した方が多いのが特徴です。                                               2番目に多いのは、肺高血圧症に対する検査、治療のための入院です。肺高血圧症は厚生労働省の指定難病で、当院は国内有数の肺高血圧症の専門治療施設です。中国四国地方のみならず、全国から紹介患者さんが来院され、当院で治療を受けられています。
 3番目に多いのは、心不全の治療入院です。高齢化社会の進展とともに心不全の患者が全国的に増え、心不全パンデミックという状況になるといわれていますが、当院でもそのような経口になりつつあります。 
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 99 16.51 16.17 0.00% 72.10
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2 2あり 75 41.57 40.13 2.67% 67.43
130060xx97x40x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 64 21.92 21.33 1.56% 80.53
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 55 15.76 12.05 0.00% 67.98
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 51 14.49 20.92 11.76% 85.92
 最も患者数が多いのは、非ホジキンリンパ腫です。化学療法目的の入院がほとんどです。入院で施行後、毒性などが認容可能であれば外来通院治療に切り替えています。
 2位の急性白血病の治療は強力な化学療法であり、高度の好中球減少による易感染性、高度の血小板減少による出血傾向をきたすため、無菌室入室および輸血、抗菌薬などの支持療法による厳重な入院管理が必要です。病状も重篤な状況が多く、在院日数が長くなります。
 3位の骨髄異形成症候群はビダーザ治療の入院です。急性白血病と同様に高度の好中球減少による易感染性、高度の血小板減少による出血傾向をきたすことがあるため、同様の対応が必要な場合もあります。
 4位は慢性腎不全です。慢性腎臓病が悪化した際の治療入院と、比較的安定した慢性腎臓病患者さんの薬物治療・食事療法や全身状態評価などの入院です。外来治療が主体の慢性腎臓病の目標は腎機能保持と心血管系などの合併症予防であり、そのなかでの入院という位置づけになります。感染症による救急搬送による入院も多く在院日数が長くなる場合があります。
 5位の誤嚥性肺炎については、中枢神経疾患や高齢による嚥下機能低下を背景に発熱や呼吸不全を呈して救急外来に搬入され緊急入院される患者さんがほとんどです。肺炎治療を終えた後も摂食の問題が残り、元の生活の場にもどれないことも稀にあります。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 定義副傷病 なし 227 2.29 2.67 0.00% 67.26
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 72 11.51 10.08 15.28% 75.15
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2 なし 58 7.50 8.52 1.72% 75.64
060040xx99x60x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 定義副傷病 なし 49 3.47 4.33 0.00% 73.51
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 43 8.81 7.75 0.00% 58.33
 大腸ポリープや大腸腺腫に対して、内視鏡で切除する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術、内視鏡的大腸ポリープ切除術が1番目に多くなっています。
 2番目は、 胆管疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術です。これは、胆管結石や腫瘍など様々な病態で胆道が狭窄して胆汁の流れが悪くなった症例に胆汁の流れを良くするためにチューブを胆管に留置する内視鏡治療です。
 次いで、胃、大腸の早期がんに対する内視鏡治療です。当科が最も力を入れている分野で、消化器がんに対する低侵襲治療です。
 最後に、腹痛で救急来院されることの多い結腸憩室炎が挙がっています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 181 3.92 3.43 1.10% 71.94
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 148 11.35 10.00 0.00% 68.80
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 74 21.49 19.06 6.76% 70.35
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり 59 19.42 19.34 1.69% 69.05
040040xx9908xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 8あり 37 12.16 10.62 0.00% 70.92
 「肺の悪性腫瘍」で「肺がんの検査」のために入院される患者さんの多くは「気管支鏡検査」および「CTガイド下生検」を行います。「気管支鏡検査」としては、超音波を併用した手技である「ガイドシースを用いた気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS法)」や「超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)」を導入し、診断率の向上に力を入れています。また、「肺がんの化学療法」の目的で入院される患者さんも多く、年間約1000人の入院患者さんのうち、約50%が肺がん患者さんです。当院は「地域がん診療拠点病院」であり、様々な専門的治療を行っています。「手術治療」「放射線治療」「抗がん剤・免疫治療」以外にも、がんによる気道狭窄に対するインターベンション治療として、硬性鏡や気管支鏡を用いた「ステント」治療を積極的に行っています。
 さらに、近年、「非感染性肺炎(間質性肺炎・肺線維症)」の患者さんが増加しています。「間質性肺炎・肺線維症」は原因が不明で、治療法も確立していないものが多く、専門的な検査(気管支鏡検査・開胸肺生検)や治療が必要です。当院では最新の専門的な検査や治療を積極的に行っています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 74 6.35 4.96 0.00% 69.15
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 54 10.20 7.30 9.26% 64.56
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 39 19.51 15.30 10.26% 71.49
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 32 7.41 10.59 0.00% 64.84
060020xx02x00x 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 23 23.96 16.49 8.70% 75.39
 最も多い症例は、鼠径ヘルニアです。鼠径部を切開する方法から腹腔鏡操作によるものまで、様々な治療法を行っています。2番目に多い症例は、胆嚢炎です。胆石症から胆嚢炎に移行する場合もありますし、胆石がなくとも急性胆嚢炎を起こす場合もあります。胆石症に対しては待機的な腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し、緊急の急性胆嚢炎に関しては、常時救急対応を行っています。緊急手術においても、まず腹腔鏡手術を行っており、腹腔鏡で困難な場合には開腹での胆嚢摘出術を行っています。
 胃及び大腸の悪性腫瘍に対しては、消化器内科と協力して積極的に腹腔鏡手術を行っています。早期~進行性の胃がん・大腸がんに至るまで、様々な術式に腹腔鏡手技を応用しています。噴門領域の胃がんに対しては、術後の逆流性食道炎が少ない観音開き法による再建を行っています。最近では直腸がん症例が増加しており、肛門をできるだけ温存するような手術や、根治的切除を目指して骨盤内の丁寧なリンパ節郭清を行っています。
 乳がんに対しては、診断から治療に至るシームレスな対応を行っています。乳房温存療法など手術によるダメージが少ない縮小手術を行っています。また、長期的な術後の経過観察を行い、抗がん剤投与による化学療法も外科で担当しています。当院は伝統的に甲状腺がんの症例が多く、手術から放射線療法までを外科で担当しています。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 165 2.44 2.82 0.00% 3.90
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 65 2.51 3.14 0.00% 2.88
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 62 2.52 8.26 0.00% 2.87
14056xxx99xxxx 先天性水腎症、先天性上部尿路疾患 手術なし 24 3.21 4.81 0.00% 1.38
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 19 4.68 5.49 0.00% 11.00
停留精巣は、基本的には1歳頃を目安に根治手術を行っております。
 鼡径ヘルニアは、自然軽快を望めず、嵌頓のリスクもありますので、診断がつき次第早期に手術を行っています。腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術は希望がある場合の女児に対して施行しております。臍ヘルニアは特殊な場合を除いて、2歳以上を目安に手術を施行しています。大きな臍ヘルニアは臍の皮膚をフラップにし、渦巻きをつくるカタツムリ法による形成術を施行する場合もあります。
 また、呼吸器や消化器の小児外科疾患はもちろんのことそれ以外に、小児泌尿器科疾患も扱っており、先天性の水腎症や水腎水尿管症の診断を行い、必要な患者さんには手術的な治療も多く行っております。先天的に上部尿路に拡張を認める疾患は自然に改善する場合が多いため、治療の適応に関しては慎重に判断する必要があります。治療は、腎盂形成術や膀胱尿管吻合術など病態に合わせた手術を行います。また、下部尿路疾患のひとつである尿道下裂など手術難易度の高い疾患の治療も数多く行っています。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 70 13.44 16.18 24.29% 75.29
010155xxxxx20x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 58 12.64 16.35 1.72% 69.31
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 32 2.00 2.04 0.00% 56.44
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 9.10 17.67 6.90% 74.45
010130xx99x4xx 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等2 4あり 23 9.65 17.57 8.70% 61.39
 最も多い症例は、脳梗塞です。当院ではtPA療法を含めた急性期治療を行います。軽症であれば1週間程度で自宅退院となります。リハビリが必要な場合は、回復期リハビリテーション病院へ転院になります。
 次に多いのが筋萎縮性側索硬化症の診断およびエダラボン治療です。
 3番目に多いのが睡眠時無呼吸症候群の検査です。入院してPSG検査を行います。
 4番目に多いのがパーキンソン病です。入院して精査を行います。診断を確定し、外来で薬物調整を行います。
 5番目が重症筋無力症です。診断、治療を行います。免疫グロブリン大量療法を行います。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 170 7.61 7.89 0.00% 18.25
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 55 8.78 7.04 0.00% 53.69
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 32 5.91 5.43 0.00% 38.53
030430xx97xxxx 滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞 手術あり 26 2.38 3.17 0.00% 5.35
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 23 5.35 5.10 0.00% 70.00
 耳鼻科での入院患者さんの総数が一番多い診断群は「扁桃、アデノイドの慢性炎症」です。繰り返す咽頭痛や発熱といった症状を引き起こす扁桃炎や、小児の扁桃肥大・アデノイド増殖症です。主に手術(口蓋扁桃摘出術・アデノイド切除術など)で治療しています。
 2番目に多い慢性副鼻腔炎は通称「ちくのう」と呼ばれる疾患で、慢性化し投薬にて改善が見られない症例は入院で内視鏡下鼻内副鼻腔手術を中心とした治療を行っています。
 3番目に多い疾患は、急性扁桃炎が重症化して膿瘍を形成する扁桃周囲膿瘍であり、疼痛のため経口摂取ができなかったり、気管の入り口である喉頭まで腫脹が及んで窒息のリスクが生じる場合があり、基本的には入院の上、排膿処置を行い抗生剤治療を行います。
 4番目に多い滲出性中耳炎は小児や高齢者に多い疾患で、鼓膜の奥の中耳腔に滲出液が溜まる疾患です。滲出液が溜まると聴力が悪化しますし、鼓膜が陥凹していくと癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎などより難治性の中耳炎になる場合があり、これを予防するために鼓膜に換気用チューブを挿入します。
 5番目に多い前庭機能障害は、いわゆる「耳からのめまい」であり、症状が強い場合には入院で点滴治療などを行います。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 102 2.32 2.53 0.00% 72.08
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 77 6.66 7.20 0.00% 76.48
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 30 15.40 12.63 0.00% 69.47
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 22 11.05 11.50 4.55% 66.55
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 16 8.13 10.97 0.00% 75.31
 前立腺がん疑いに対して前立腺生検を基本的に1泊2日で施行しています。
 次に多い症例は、膀胱腫瘍に対する入院手術です。膀胱腫瘍は良性のものと悪性のものがありますが、入院加療が必要となるのは悪性がほとんどです。まずは経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。当院では術後早期の退院を目指し、病理組織結果は外来通院で説明しています。この結果にて、追加治療が必要となることがあります。
 ついで、前立腺疾患が挙げられます。高齢化に伴い、その数は増加傾向にあります。前立腺がんは、最近ではPSA検診が普及し早期発見が可能となり、手術にて完治することが可能です。当院では前立腺がんが疑われたら、経直腸的前立腺針生検を行い組織学的に診断します。適応症例は腹腔鏡や腹腔鏡下小切開にて根治術を行います。
 腎、腎盂、尿管に発生したがんは腎がん、腎盂がん、尿管がんと呼ばれます。早期がんである場合は、根治術として腎摘除術や腎尿管全摘術が行われています。
 尿路上皮がんのなかで最も多い疾患が膀胱がんです。進行がんである場合は、手術に加えて化学療法が追加されることがあります。以前に比べて化学療法の奏効率はよく、副作用も重篤なものは少なくなっているため入院で開始し、外来通院にて化学療法を継続する方が多くなっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 272 2.04 2.84 0.00% 77.25
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 41 2.80 7.05 0.00% 67.39
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 19 3.79 5.39 5.26% 75.74
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 15 4.73 6.33 0.00% 48.60
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 片眼 15 4.80 8.00 0.00% 74.87
 眼科入院治療では、手術、薬物、放射線などがありますが、手術治療が圧倒的に多くなっています。眼科手術は過半数を外来通院で行いますので、入院での手術は、通院手術が困難な方、重症の方がほとんどとなります。
 診断群分類別では、片眼と両眼の白内障手術の方が多く、次いで黄斑円孔、黄斑前膜、糖尿病性網膜症に対する硝子体手術の方が多くなっています。
 眼科領域の腫瘍に対する手術が多いのも当院の特徴になっています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 22 2.95 2.85 0.00% 70.45
050163xx02x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 21 27.57 20.61 9.52% 73.14
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 18 3.33 4.52 0.00% 73.28
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 11 33.91 12.01 36.36% 79.00
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 10 2.90 3.01 0.00% 71.70
 当科では、心臓・大動脈疾患に対する手術治療と末梢動脈疾患、静脈疾患に対する診断と治療を行っています。スタッフ2名とレジデント2名および診療看護師1名のの合計5人で24時間365日体制の診療・治療にあたっています。救急患者さん対応に対しては、循環器内科、麻酔科、救急科、放射線科、臨床検査科、臨床工学技士、ナーシングスタッフ等のみなさんの協力を得て可能となっています。
 心臓に対する手術治療は、虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈疾患などに対して行われます。虚血性心疾患に対するバイパス術は、人工心肺を使用しない低侵襲手術を標準術式として行っています。大動脈疾患は、大動脈瘤、大動脈解離などが手術適応となりますが、適応が合えばステントグラフト手術も選択しています。末梢動脈疾患では、閉塞性動脈硬化症が多く、なるべき侵襲が少ない治療方法を選択しています。下肢静脈瘤に対しても、皮膚切開の小さな血管内焼灼術を取り入れています。いずれの疾患に対しても患者さん一人一人に合った治療方針を考え、丁寧な説明をし、同意を得てから治療にあたっています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080180xx99xxxx 母斑、母斑症 手術なし 51 2.96 3.82 0.00% 2.63
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 21 5.33 4.05 0.00% 14.14
140490xx970xxx 手足先天性疾患 手術あり 手術・処置等1 なし 12 12.00 8.01 0.00% 0.83
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 10 8.60 3.15 0.00% 75.90
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 10 8.60 5.59 0.00% 59.00
 当院の形成外科入院における診断群分類は多種多様に及んでおります。なかでも小児症例が年々増加し、ここ1年ほどは大半を占めております。また小児の母斑や血管腫に対する手術やレーザー治療も積極的におこなっており、レーザーの照射範囲が広い場合には入院、全身麻酔下での照射が可能です。また先天性眼瞼下垂のみならず、後天性眼瞼下垂も増加しており、日帰りでは不安な患者さんには入院治療対応しております。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 35 6.77 8.16 2.86% 74.49
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 31 10.58 12.51 6.45% 65.74
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 19 2.47 4.05 0.00% 43.63
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 8.98
080180xx971xxx 母斑、母斑症 手術あり 手術・処置等1 あり 6.16
 当院皮膚科では皮膚腫瘍の診断および治療に重点を置いており、入院加療の必要な「皮膚の悪性腫瘍」「皮膚の良性新生物」「母斑、母斑症 その他の手術」患者さんの入院比率が高くなっています。病状に応じて適切な治療を行い、短期間で外来通院への切り替えられるよう心掛けています。これら以外にも、再建術を伴った症例(処置等あり)、頭頸部悪性腫瘍、黒色腫、外陰部悪性腫瘍、軟部腫瘍、等の類似DPCコード疾患患者が入院加療しています。
 「膿皮症 処置1なし」の大多数は入院のうえ抗菌薬の点滴静注を要した丹毒や蜂窩織炎です。それ以外に壊死性筋膜炎やガス壊疽などの「膿皮症 処置1あり」に分類される患者さんも複数例入院加療しています。帯状疱疹の入院患者の多くは合併を有する症例や顔面発症などの重症例です。
 急性期病院が対応すべき皮膚疾患患者の入院比率が高くなっています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 54 39.85 19.69 16.67% 32.98
120150xx99xxxx 妊娠早期の出血 手術なし 14 30.00 11.83 7.14% 30.79
120140xxxxxxxx 流産 11 4.27 2.45 0.00z5 30.82
120180xx99xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 手術なし 10 10.50 6.52 10.00% 30.90
120165xx99xxxx 妊娠合併症等 手術なし 10 8.80 11.80 0.00% 32.00
 当院は総合周産期母子医療センターに指定されているため、多数の重症患者さんの紹介や母体搬送があります。周産期領域での最大の問題点は早産であり、紹介されてきた重症切迫流早産患者さんの管理が周産期センターの中心を占めます。妊娠週数の早い段階での紹介・入院も多いため、在院日数が長くなる傾向があります。また、胎児発育が不良である子宮内胎児発育遅延症例や、前置胎盤・低置胎盤をはじめとした胎盤の位置異常症例の紹介も多く、慎重な入院管理を必要とする症例です。
 流産は産科領域で日常的に遭遇する代表的疾患ですが、当院では母体に合併症のある症例や、前期破水など産科的異常を認めた症例が流産に至るケースも稀ではありません。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 91 13.71 11.87 0.00% 70.73
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 10 11.70 10.08 20.00% 36.00
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 10.36
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 19.06
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 9.29
当院呼吸器外科の手術は肺の悪性腫瘍に対するものが最も多く、次に気胸、そして縦隔腫瘍と続きます。平成30年度は肺癌の手術が70%以上占めていました。肺癌の手術では手術2日前に入院、術後7日から10日くらいで退院するスケジュールとしています。気胸の手術は難治性気胸を扱うことが多く、呼吸器内科と合同で対応しています。縦隔腫瘍も含め手術の多くは胸腔鏡を使用しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 12.43 9.69 19.05% 78.67
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 11.73 18.72 27.27% 70.91
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 4.45 7.35 18.18% 47.91
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11.80
160100xx97x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 23.57
 平成30年度はスタッフの交代の谷間にあたり、治療の件数が一時的に減少しています。脳卒中(脳出血やくも膜下出血)、頭部外傷(慢性硬膜下血腫を含む)、脳腫瘍、小児の脳神経外科を中心に入院診療を行っています。在院日数は平均2週間程度です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 60 10 47 18 45 1 8,7
大腸癌 20 27 40 43 23 169 1 8,7
乳癌 36 16 1 8
肺癌 72 35 75 137 46 230 1 8,7
肝癌 25 1 8,7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 平成30年4月1日から平成31年3月31日までの1年間に、岡山医療センターを退院された患者さんを対象とし、延べの患者数で集計しています。5大がんとは、日本人に比較的頻度の高い肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんの5つのがんを示します。
 がんの大きさや拡がりを分類するためには、国際対がん連合(UICC)のTNM分類を用います。病期(ステージ)は、T因子:がんがどのくらいの大きさになっているか、N因子:周辺のリンパ節に転移しているか、M因子:別の臓器への転移があるか、の3つの要素を組み合わせて決められます。このTNMの各因子の状況によって、病期を大ざっばにいうと0期~IV期の5つに分類します。0期に近いほど、がんが小さくとどまっている状態、IV期に近いほどがんが拡がっている状態です。今回の集計では、0期は除外しています。また、集計値が10人未満の場合は、数値を記載せず、"―"(ハイフン)で表記しています。
 5大がんの個々の集計値は、あくまで延べの患者数ですので誤解しないようにしてください。すなわち1人の患者さんが6回入退院して治療を受けた場合、人数は6人と集計されますので、各病期の人数の多寡は、実際の病期の実人数というわけではありません。また、病期不明が多いのも、入院中の検査のみでは病期が確定できない場合も多々ありますので、実際に病期が確定しなかった患者数というわけではない点に注意が必要です。
<胃がん・大腸がん・肝がん>
 当院では、消化器内科と消化器外科とで胃がん・大腸がん・肝臓がんの患者さんの診療にあたっています。近年、内視鏡治療の進歩により胃がん・大腸がんのI期の患者さんの割合がどんどん増加する傾向にあります。UICC病期分類不明の患者さんの大半は内視鏡手術後早期に退院し、退院後外来にてステージが判明するためです。特に早期胃・大腸がん内視鏡治療患者さんは進達度診断の判定が退院後になり、入院中は判定できません。
 肝臓がんに関しては肝炎治療の進歩により明らかに減少傾向にあります。特にHCV感染患者さんからの発症減少が著しく、NASHからの発がんが多くなりつつあり、ステージが進行してから発見される率も増加傾向にあります。
<乳がん>
ステージが進むにつれて再発する割合は増え、乳がん全体ではおよそ1割が再発するといわれています。当院は精密検診施設として、セカンドオピニオン外来や紹介患者を中心に診療しています。このため進行・再発症例が多い傾向にあります。
<肺がん>
 肺がんは近年増加傾向にあり、呼吸器内科、呼吸器外科では多くの患者さんの治療を行っています。新規に肺がんと診断され、治療を受ける患者さんは年間約150~200人ぐらいです。I、 II期では外科的治療が主体となりますので入院回数は少なく、逆にIII、 IV期では抗がん剤を使った化学療法(内科的治療)が主体となるため入院回数は多くなる傾向にあります。したがって、各病期に示された人数は各病期の頻度とは無関係です。また「再発」に関しては、もともとの言葉の定義自体が曖昧で不明確であるため、担当医の解釈にブレを生じています。肺がんが「増悪」した場合に、「初発」と解釈する担当医と「再発」と解釈する担当医の両者が存在するため、この「再発」の項に示された人数は、実情を正しく反映しているわけではありません。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 42 9.02 55.52
中等症 103 13.82 75.61
重症 14 13.86 84.79
超重症
不明
 呼吸器感染症、特に市中肺炎は地域の方々にとって、最も身近な病気のひとつです。患者数が最も多いのは中等症(重症度1・2)ですが、軽症患者のほとんどは外来で治療を行うため、入院適応となる患者さんが多くありません。軽症(重症度0)で入院となる患者さんのほとんどは合併症をお持ちで、重症化の危惧される患者さんが入院されています。
 また、症状が重症化するにつれ、高齢者が多くなり、入院日数も長くなっています。高齢者の肺炎は重症化し、長期入院となるケースがあるため、肺炎予防が重要であり、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種をお勧めします。
 当院で肺炎で入院される患者さんのほとんどは、近医からの時間外や救急外来への紹介患者さんであり、当科では、このような患者さんの緊急入院に対応しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 193 17.85 76.02 29.11%
その他 20 16.65 72.10 4.23%
 脳梗塞の分類に入る症例は、ほとんどが脳神経内科に入院されます。当院では脳梗塞急性期治療を行っていますので、発症日から3日以内の症例が最も多くなっています。平均して17日程度の入院期間に治療とリハビリを行います。後遺症の程度により、軽度であれば、1週間程度で自宅へ退院されますが、後遺症が重い場合、リハビリを継続するために、よりリハビリを専門とする病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) 等 246 2.25 14.88 26.02% 73.24
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 148 3.60 16.77 28.38% 69.93
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 148 2.61 13.17 71.62% 77.70
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 120 3.01 12.89 20.00% 71.94
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術(後方摘出術) 101 2.73 8.12 6.93% 50.78
 当科では、人工関節手術を受けられる患者さんが最も多くなっております。変形性関節症の膝や股関節・肩関節の患者さんに行っております。膝関節では、全人工膝関節置換術だけではなく、より侵襲が少なく本来の動きに近い動作が可能な単顆置換術も行っております。股関節においては、より皮膚切開が少なく筋肉への侵襲が少ない小侵襲手術を行っております。また肩関節においては、今までは手術しても成績が良くなかった腱板断裂性変形性関節症の患者さんにも、リバースタイプの全人工肩関節置換術を行い良好な成績をあげております。
 また、高齢患者さんで骨粗鬆症を基盤に発生する大腿骨近位部骨折や上腕骨近位部骨折に対する手術が多くなっております。さらには、当院整形外科の特徴である、脊椎外科が行う脊椎固定術・椎弓形成術が多くなっております。患者さんの症状に応じて、固定や神経除圧を組み合わせた手術を行っております。さらに脊椎手術においても、可能な限り小侵襲手術を試みており内視鏡下椎間板摘出術が多く行われており、患者さんの負担軽減を図っております。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 89 1.92 8.47 6.74% 64.84
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 65 1.38 3.85 0.00% 68.49
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 51 6.29 14.73 13.73% 73.20
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 22 0.55 4.18 0.00% 42.09
K7161 小腸切除術(悪性腫瘍手術以外の切除術) 17 2.24 21.76 41.18% 80.76
最も多い手術は、胆石症及び急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術です。待機的な胆石症・胆嚢炎のみならず、救急の場における緊急手術も常時対応しています。術後の合併症率も極めて少なく、緊急手術であっても安全に行っています。
 2番目に多い手術は鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術です。腹腔鏡で腹腔内を観察することにより、適切な補強を行うことができます。手術によるダメージも少なく、術後の再発率も低く、良好な成績を収めています。
 3番目に多い手術は大腸がんに対する腹腔鏡手術です。早期~進行性の大腸がんに至るまで、様々な術式に腹腔鏡手技を応用しています。最近では直腸がん症例が増加しており、肛門をできるだけ温存するような手術や、根治的切除を目指して骨盤内の丁寧なリンパ節郭清を行っています。開腹手術とほぼ同等の腹腔鏡手術を行っており、身体にかかる負担も少ないため、在院日数も短縮しています。虫垂炎に対しても、従来型の小開腹による手術から、腹腔鏡下虫垂切除術に移行しています。鼠径ヘルニア手術と同様に、体に与えるダメージが少なく、早期の社会復帰が可能となっています。
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 194 1.45 1.78 2.06% 74.72
K570-3 経皮的肺動脈形成術 130 2.50 8.29 2.31% 60.79
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 62 1.56 1.50 1.61% 71.45
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 42 2.24 4.95 9.52% 75.43
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 39 0.13 14.31 12.82% 73.62
 最も多い手術は、経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術といった、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患に対するカテーテル治療です。多くは心臓病専門施設では対応困難な複数の疾患が併存した方が多いのが特徴です。併存症に対して他科と連携を取りながら並行して治療を行っています。緊急入院の上同日治療を行う場合、後日改めて治療を行う場合、検査入院の後一旦退院し再度入院して治療を行う場合というふうに、患者さんの病状やライフスタイルに応じて治療を行っています。
 次いで多いのは慢性血栓塞栓性肺高血圧症や末梢型肺動脈狭窄症に対するカテーテル治療である、経皮的肺動脈形成術です。肺高血圧症は厚生労働省の指定難病で、当院は国内有数の肺高血圧症の専門治療施設です。中国四国地方のみならず、全国から紹介患者さんが来院され、当院で治療を受けられています。
 続いて多いのは四肢の血管拡張術、血栓除去術で、下肢の閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療です。これも多くは心臓病専門施設では対応困難な複数の疾患が併存した方が多いのが特徴で、非常に重篤な重症下肢虚血患者さんに対しては、血管拡張術、血栓除去術に加え下肢の部分切除や継続的な創処置、透析患者さんに対する維持透析などを他科と協力しながら行い、多くの患者さんの救肢を可能としています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 219 0.26 1.23 0.00% 67.64
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 59 0.66 13.31 23.73% 76.14
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 56 1.07 5.23 1.79% 75.59
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 31 1.00 5.94 0.00% 69.19
K654 内視鏡的消化管止血術 27 2.19 7.78 11.11% 71.74
 大腸ポリープや大腸腺腫に対して、内視鏡で切除する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術、内視鏡的大腸ポリープ切除術が1番目に多くなっています。典型的な症例では、1泊2日の入院で治療を行っています。
 2番目は、 胆管疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術です。これは、胆管結石や腫瘍など様々な病態で胆道が狭窄して胆汁の流れが悪くなった症例に胆汁の流れを良くするためにチューブを胆管に留置する内視鏡治療です。内視鏡的胆管結石除去術などほかの手術の前段階として行われることも多く、術後日数が長くなる傾向があります。高齢者に発症することが多く、自宅退院が困難な患者も多いようです。
 次いで、消化管の早期癌に対する内視鏡治療です。外科手術と比較すると身体的侵襲も少なく入院期間も短くてすみます。
 最後に、救急外来からの吐下血患者も比較的遭遇する疾患です。以前と比較するとヘリコバクタピロリ菌の除菌治療が普及したため胃十二指腸潰瘍からの出血は減少してきているものの、高齢者のNSAIDs内服やDOAC・LDA内服に伴う消化管出血の頻度は依然として高く処置に難渋することが多いようです。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 136 0.98 0.36 0.00% 3.76
K836 停留精巣固定術 65 0.97 0.51 0.00% 3.17
K6333 臍ヘルニア手術 58 1.00 0.55 0.00% 2.93
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 29 1.00 1.00 0.00% 4.55
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 19 0.16 3.53 0.00% 11.00
 鼠径ヘルニアは、自然軽快を望めず、嵌頓のリスクもありますので、診断がつくと早期に手術を行っています。腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術は、希望のある女児に対しては施行しております。停留精巣は、基本的には1歳頃を目安に根治手術を行っております。入院期間は1泊2日です。臍ヘルニアは大きなもの以外は2歳以上を目安に手術を施行しています。大きな臍ヘルニアは臍の皮膚をフラップにし、渦巻きをつくるカタツムリ法による形成術を施行する場合もあります。また、小児救急で代表的な疾患の急性虫垂炎に対しては、超音波検査で診断して腹腔鏡下手術を行っています。その他、新生児、固形腫瘍、肝胆道、泌尿器疾患に対しても手術を行っております。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 291 0.01 1.15 0.34% 77.07
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 80 0.33 3.39 0.00% 63.69
K216 眼瞼結膜悪性腫瘍手術
K2686 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)
K2682 緑内障手術(流出路再建術)
 水晶体再建術とは白内障手術のことですが、過半数が外来通院の形で行われています。入院患者でも上記のように最も多い手術となっています。
 次いで、網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑前膜、黄斑円孔などに対する硝子体手術が多くなっています。
 次いで、緑内障手術が多くなっていますが、最近注目されている低侵襲緑内障手術が当科でも増加しているためです。
 眼瞼結膜悪性腫瘍手術が多いのは、当科に特徴的な眼科領域の腫瘍手術の多さを反映しています。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 156 1.08 6.04 0.00% 19.06
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 39 1.21 6.72 0.00% 55.23
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 33 0.97 0.73 0.00% 6.09
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 13 1.00 6.92 0.00% 53.62
K3892 声帯ポリープ切除術(直達喉頭鏡) 等 13 1.00 1.00 0.00% 55.85
 手術室で年間約400件手術を行っているなかで、最も多い手術は、慢性扁桃炎・扁桃肥大に対する口蓋扁桃摘出術です。
 長期間改善しない慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS)も積極的に行っております。小児の言語発達に影響する滲出性中耳炎に対して鼓膜チューブ挿入術を行っております。音声改善および喉頭生検目的の直達喉頭鏡下微細手術(腫瘍摘出・ポリープ切除)も行っております。他の音声改善手術も行っております。
 地域の開業医の先生から紹介で手術を行うことが多くなっており、地域のニーズにあわせて積極的に手術治療を提供しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 83 1.17 5.87 0.00% 76.14
K841-5 経尿道的前立腺核出術 37 1.78 5.97 0.00% 73.97
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 24 1.42 8.67 4.17% 69.75
K843-3 腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術 19 1.84 14.84 0.00% 69.74
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 15 2.20 8.73 6.67% 79.00
 最も多い手術は膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)です。尿道から内視鏡を挿入して腫瘍を切除します。当院の特徴は、一塊切除法を取り入れていることです。Transurethral Resection of Bladder Tumor in One-piece(TURBO、ターボ)といいます。TURBOでは、がんを一塊として切除するため、がん細胞を膀胱内に散らす可能性が少なくなります。また、病理診断で、深さや拡がりの診断をさらに正確に行うことができます。
 広義の経尿道的前立腺手術は、当院では、経尿道的前立腺核出術と経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用)を指します。ともに排尿障害を呈する前立腺肥大症に対して行う手術です。平成20年からは、主に経尿道的核出術(TUEB、チューブ)を行っています。TUEBは、前立腺を被膜に沿って摘出する手術であり、完全な切除を可能にするとともに、血管を根元で止血しますので少ない出血で済むようになりました。
 腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術は、早期前立腺がんに対して行う手術です。小さい傷で手術を行えます。術後早期回復および社会復帰が可能となっています。
 腎、腎盂、尿管に発生した腫瘍に対しておなかに小孔をあけ、腹腔鏡を挿入して腎や尿管を摘出する方法が、腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術です。やはり傷が小さいため術後早期回復および社会復帰が可能となっています。
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント設置術 44 9.25 14.30 4.55% 66.70
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 18 4.83 39.17 22.22% 78.06
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む)
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術
 1位は内シャント設置術で、腎臓内科入院中の手術を取り上げています。手術は心臓血管外科・外科が執刀しています。
 また、外科で執刀される3位の連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術は、1位の内シャント設置術と同じで、腎臓内科入院中に行われる手術です。
 2位のリンパ節摘出術は、リンパ節腫大の精査で入院した患者さんを対象に、外科系診療科に依頼して行っています。
 4位の胃瘻造設術は、誤嚥性肺炎で入院し、嚥下機能評価で経口摂取困難と判断され施行されるケースが多く、退院調整を含めて入院日数が長くなっています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 25 8.20 26.68 16.00% 71.96
K6171 下肢静脈瘤手術(抜去切除術) 18 1.00 0.94 0.00% 70.39
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 15 8.13 18.33 33.33% 72.13
K5551 弁置換術(1弁) 10 14.90 21.70 40.00% 76.10
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈)
 心臓疾患のうち、虚血性心疾患に対する冠動脈バイパスでは脳神経合併症の回避や腎機能障害の軽減を目指して人工心肺非使用の心拍動下手術(オフポンプバイパス術)を積極的に取り入れています。また、心臓弁膜疾患では、患者さんの高齢化によりハイリスク症例が増加していますが、小切開(MICS)などによる手術方法の工夫により良好な手術成績を得ています。
 大動脈疾患、特に胸部大動脈疾患は高齢者が多く、かつ手術侵襲が高度なため術後の回復に難渋する症例を認めます。そこで当科では、ステントグラフト治療に積極的に取り組んでいます。本法は、症例によっては侵襲の大きな従来手術に取って代わりうる治療法と考えられており、今後適応症例の増加と術後成績の向上が期待されます。腹部大動脈瘤手術でも同様の取り組みを行っております。末梢血管疾患に対してはカテーテル手術、通常のバイパスによる血行再建手術等を行っており、患者さんに合った術式を選択しています。
 下肢静脈瘤手術でも、侵襲の少ない麻酔、手術方法を選択しており、切らずに治す血管内焼灼術も取り入れています。患者さん一人一人に合った治療を考え、丁寧な説明をし、同意を得てから治療にあたっています。日帰り手術もしくは2~3日の短期入院が可能となっています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 40 2.90 11.23 0.00% 71.35
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 28 2.39 8.89 0.00% 71.64
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 19 2.42 10.63 0.00% 72.47
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 12 3.67 7.33 25.00% 40.00
K488-4 胸腔鏡下試験切除術
 当院呼吸器外科の手術は原発性肺癌が最も多く、その多くに標準術式である肺葉切除術を選択しています。全身状態、癌の悪性度を考慮し縮小手術である区域切除、部分切除となることもあります。気胸に対しては病因であるブラ(肺嚢胞)の切除術を行います。ほとんどが胸腔鏡を使用した手術で行うため術後は早期退院が可能です。クリニカルパスに従って進めますが個人の病状に合わせて退院日を調整しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) 11 1.00 3.45 0.00% 8.55
K288 副耳(介)切除術 10 1.00 1.10 0.00% 0.90
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 等 10 1.60 6.00 0.00% 59.00
K2193 眼瞼下垂症手術(その他)
K1002 多指症手術(骨関節、腱の形成を要する)
 当科の特徴として小児先天異常の患者さんが多くの割合を占めております。現在は副耳、合指症の手術の件数が増加しています。また先天性眼瞼下垂のみならず後天性眼瞼下垂に対する手術も積極的に行っています。日帰り手術が不安な患者さんには入院での治療をご提案させていただいております。近年は近隣の先生方より粉瘤等の皮膚腫瘍や脂肪腫のご紹介を多数いただいており、これらの手術も日帰り手術、入院下での手術で対応させていただいております。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 33 0.24 4.18 0.00% 74.64
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)
K0151 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術(25cm2未満)
K013-21 全層植皮術(25cm2未満)
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)
 当科では皮膚腫瘍の診断および治療に重点を置いており、「皮膚悪性腫瘍切除術」および「皮膚、皮下腫瘍摘出術」の入院手術比率が高くなっています。それに伴って、腫瘍切除後に施行する「皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術」、「植皮術」などの再建術の比率も高くなっています。局所麻酔手術は原則的に入院同日に手術を施行する方針としています。また、病状に応じて適切な治療を行い、短期間で外来通院に切り替えられるよう心掛けています。高齢者が多い皮膚悪性腫瘍患者さんの術後は、紹介元への転院や通院を常に考慮しています。
 なお、「皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)」以外にも耳介悪性腫瘍手術、眼瞼悪性腫瘍手術、女子外性器悪性腫瘍手術、皮膚悪性腫瘍切除術(広範切除)等の悪性腫瘍手術も施行されています。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K510-3 気管支鏡下レーザー腫瘍焼灼術 10 2.70 7.00 0.00% 63.80
K508 気管支狭窄拡張術(気管支鏡)
K508-3 気管支熱形成術
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む)
 当院では呼吸器インターベンションを含む高度な最先端の医療を提供しています。
 「気管支狭窄拡張術(気管支鏡)」とは軟性気管支鏡を用いて腫瘍などによる気道狭窄に対して行う手技をいいます。肺がん患者さんの増加に伴い、肺がんによる気道狭窄で生命予後が左右されるケースが増加しています。適切な時期に、適切なインターベンションが行われることで患者さんのQOLや予後が改善します。このような気道狭窄に対して、気管支バルーンやアルゴンプラズマレーザーによる気道拡張と気道ステント留置により、患者さんを呼吸困難から救うべく全力を尽くしております。
 「気管支熱形成術」とは「気管支サーモプラスティー」のことを表しています。「気管支サーモプラスティー」とは複数の薬剤を使用しても症状が出てしまう、18歳以上の喘息患者さんに対して、症状を緩和させる新しい喘息治療方法です。気管支内視鏡を用いて電極付カテーテルを気管支内に挿入し、高周波電流で65℃に気管支壁を温めることで、喘息の原因となる肥厚した気道平滑筋の量を健常人に近付け、気管支の収縮を抑制し、発作を起きにくくします。2016年6月に県内で初めて実施し、以後多くの症例数を誇ります。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 20 25.90 16.75 60.00% 78.40
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
K386 気管切開術
K797 膀胱内凝血除去術
K597-3 植込型心電図記録計移植術
 最も多い症例は、脳梗塞です。当院ではtPA療法を含めた急性期治療を行います。軽症であれば1週間程度で自宅退院となります。リハビリが必要な場合は、回復期リハビリテーション病院へ転院になります。次に多いのが筋萎縮性側索硬化症の診断およびエダラボン治療です。3番目に多いのが睡眠時無呼吸症候群の検査です。入院してPSG検査を行います。4番目に多いのがパーキンソン病です。入院して精査を行います。診断を確定し、外来で薬物調整を行います。5番目が重症筋無力症です。診断、治療を行います。免疫グロブリン大量療法を行います。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 28 0.29 12.50 21.43% 80.07
K1742 水頭症手術(シャント手術)
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他)
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む)
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)
 平成30年度はスタッフの交替の谷間にあたり、手術の件数も一時的に減少しています。慢性硬膜下血腫の他、先天性水頭症に対する手術や脳腫瘍摘出術、脳卒中(脳出血やくも膜下出血)などを中心に手術を行っています。
小児科・新生児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) 12 0.00 86.67 16.67% 0.00
K2762 網膜光凝固術(その他特殊)
K300 鼓膜切開術
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度)
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
 早産児・低出生体重児をはじめリスクのある児(胎児心拍異常、胎児超音波異常など)の分娩にしばしば立ち会います。種々の理由により、出生した新生児が、呼吸が十分にできない、顔色が悪い、筋緊張が不十分である、心拍数が低下している、など新生児仮死を呈していることがあり、その程度(仮死1度:アプガースコア 4-6、仮死2度:アプガースコア0-3)に応じて、マスクによる持続陽圧換気、気管挿管による人工換気、胸部圧迫、点滴確保による薬剤投与などの新生児仮死蘇生術を行うことがあります。
 また、早産とくに在胎28週未満の超早産児では、特有の合併症である未熟児網膜症の治療のために網膜光凝固術を行うことがあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 29 0.19%
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 91 0.60%
異なる
 重篤な疾患である播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、入院契機となった傷病名と同一なのか、異なるのかに分けて集計しています。
 敗血症とは、微生物(細菌やウイルス、真菌など)が体内に侵入する感染症により臓器の障害が起こっている状態であります。入院時に敗血症となって診断された症例は、自宅等で感染症を発症し、入院加療を要するほどの患者さんでありました(平成29年度:0.20%が平成30年度:0.19%と横ばい)。一方、入院中に敗血症を発症された方は、他疾患で入院中に、肺炎や尿路感染症等の感染症を発症し敗血症に至った患者さんであります(平成29年度:0.12%から平成30年度:0.06%へ減少)。また、重篤な疾患を引き起こす可能性や術後に起こりうる合併症については、入院時や入院期間中に可能な限り患者さん・患者さんのご家族等に時間をかけて、説明した上で治療に同意をいただくよう努めています。
更新履歴
2019/09/30
平成30年度分 新規公開