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新しいアイソトープ治療が始まりました

当院では新たに2つのアイソトープ治療を始めました。簡単に新しい治療のご説明をさせていただきます。


がんの骨転移に対する治療

ストロンチウム-89という核種を用いて、がんの骨転移により生じた痛みに対する治療を行います。この治療はお薬を静脈注射させていただくだけで完了します。お薬が効いた患者様では通常注射の1~2週間後から痛みがやわらいできます。
ただし、この治療の目的は骨の痛みをやわらげることを目的としており、がんや転移そのものの治療ではありませんのでご注意下さい。


副作用について
お薬を注射すると、血小板や白血球が注射前に比べて減少することがあります。また、まれに血小板のより著しい減少、貧血、汎血球減少症などがおこることがありますので、治療薬の注射の前後で定期的な血液検査を受けて下さい。
また、注射の2~3日後に一時的に痛みが増すことがあります。その場合、必要に応じて痛みをやわらげる治療を行います。


悪性リンパ腫に対する治療

イットリウム-90という核種を用いて、悪性リンパ腫細胞にダメージを与える治療を行います。この治療はインジウム-111という核種を用いて治療前の診断検査を行うことが必要となり、この検査結果から治療が適切であるかを判断します。その後、治療可能な患者様に対し治療薬の投与行います。国内臨床試験の結果、80%の患者様で腫瘍が治療前に比べて縮小し、64%の患者様で腫瘍病変がほぼ消失したということが確認されました。
*診断・治療検査ともに抗ヒスタミン剤や解熱鎮痛剤などの点滴を行う必要がありますので、半日から1日がかりとなりますのでご了承ください。


副作用について
主な副作用として、リンパ球数減少、好中球数減少、血小板数減少、白血球数減少などの血液毒性が挙げられます。これらはほとんどの患者様で治療から2か月ほどで発現し、その後1~2週間で軽快します。このような副作用があるため、治療を受けていただいた患者様には定期的な血液検査をお願いします。
そのほかに寒気、頭痛、発疹、せき、むくみ、喉の腫れ、動悸、息苦しさなどの症状があらわれることがありますのでご注意ください。


上記のいずれの治療も患者様の状態や病気の種類によって適応・不適応がございますので、まずは主治医の先生にご相談ください。