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教育方針・沿革

3つのポリシー(助産学科)

国立病院機構の病院を母体とする本校では、豊かな人間性と倫理観を備え、専門職業人としての責務を自覚し、生涯を通じて自己研鑽できる助産師を育成するために以下の能力を持つ人を求める。

1.助産師になる明確な動機と強い意思をもち、論理的思考と優れたコミュニケーション能力を有している人 2.看護の基礎的能力を有し、助産の専門的知識と実践能力を身につけるための自己学習能力の高い人 3.生命の尊厳に対する感性と倫理観をもち、責任をもった行動のできる人 4.主体的に行動する力をもち、人との協働を通じて学び合うことができる人 5.生涯を通じて自己研鑽する姿勢をもち、助産師として国立病院機構及び社会に貢献しうる人
 
 
カリキュラムは「基礎助産学」「助産診断・技術学」「地域母子保健」「助産管理」「臨地実習」の5分野で構成され、学科13科目、実習6科目の合計19科目、31単位(960時間)を履修する。各分野の教育内容の基本的な考え方は以下のとおりである。
 
1.基礎助産学では、女性の生涯を通じて性と生殖に焦点をあてて支援する助産の基礎を学ぶ。 2.助産診断・技術学では、助産の実践に必要なアセスメント及び基本的技術を修得し、女性及び家族への生涯にわたる健康の継続的支援を学ぶ。 3.地域母子保健では、保健・医療・福祉の関係職種と連携・協働しながら、地域における子育て世代の包括的な支援を学ぶ。 4.助産管理では、助産業務の管理、助産所の運営の基本及び周産期医療システムについて学ぶ。 5.臨地実習では、助産診断・技術学、地域母子保健、助産管理について基礎的な実践能力を修得する。
【基礎助産学】

妊娠・出産・産褥期にある女性と子ども及びその家族を支援するための基礎的知識を学び、「助産診断・技術学」の専門知識及び実践の基盤となる内容をおく。また、母子の命を同時に尊重することに責任をもつ役割を理解するため、生命倫理を深く学ぶようにする。

各科目と教育内容の考え方は以下のとおりである。

「助産学概論」では、助産の基本概念、助産師の責務と役割を理解し、助産師の専門性、助産師に求められる姿勢、態度について学ぶ。また、チーム医療や関係機関との調整・連携について理解する。

「母子の基礎科学」では、女性の健康に関する基本的な医学知識を身につけ、倫理的諸問題について、生命倫理を深く学び、母子の生命を同時に尊重することに責任を持つ役割を理解する。

「ウィメンズヘルス論」では、助産のケアの対象を女性及び家族として広く捉え、女性のライフサイクル各期の身体的・心理的・社会的な特徴や変化、性と生殖に関連した健康課題と支援を学ぶ。とくに、プレコンセプションヘルス(受胎前の健康)において助産師が果たす役割を理解する。

「家族の心理・社会学」では、母性・父性を育むことを支援する能力を養うために、母子及び家族の心理・社会面の変化や行動発達、親性と家族の発達とその支援のあり方を理解する。

「助産学研究」では、研究に必要な基礎的能力と科学的思考を身につけるため、助産学領域の文献レビューに取り組み、発表を行う。また、研究のプロセスを通して、自己の助産実践を追求する研究的姿勢や態度を養う。


【助産診断・技術学】

助産の実践に必要な基本的技術及び分娩等において対象や他職種の専門性を尊重し、適切な役割分担と連携のもとで支援を行うためのコミュニケーション能力を修得する内容とする。

具体的には、「基礎助産学」の知識を基盤として、妊産褥婦及び新生児の健康状態の診断と正常に経過するための支援を学ぶ内容とする。また、様々なハイリスク要因を抱える対象者に対応する能力を強化するため、正常からの逸脱の診断やハイリスク妊婦の状態をアセスメントし、異常を予測するための臨床推論と判断を強化する内容とする。技術習得は、基本的な助産技術に加え、助産師として、緊急時や異常時に早期対応できる実践能力を強化するため、異常発生時の母子への介入に係る手技を含める。各科目にはそれぞれ演習を含む。

また、基礎助産学の「ウィメンズヘルスケア」の知識をふまえ、女性及び家族への生涯にわたる健康教育を行うための技法を学ぶ内容とする。マタニティ・サイクルにおいては、妊産婦の主体性を尊重した出産を支援し、妊娠・分娩・産褥期にわたる継続的な支援を強化する内容とする。

各科目と教育内容の考え方は以下のとおりである。

「周産期の診断と技法」では周産期の助産診断に必要な医学的な診断の基礎的知識と技法を理解する。分娩期における緊急事態(会陰切開及び裂傷に伴う縫合、新生児蘇生、止血処置など)については演習を通して基礎的な技術を習得する。

「助産診断・技術学Ⅰ妊娠期」、「助産診断・技術学Ⅱ分娩期」、「助産診断・技術学Ⅲ産褥期・新生児」、「助産技術演習」では、妊産褥婦及び胎児・新生児の健康状態を診断するための臨床推論及び正常に経過するための援助技術を習得する。マタニティ・サイクルの助産診断・技術は、診断技法と援助技術を統合させ、実習前の確実な習得を保障するための形成的評価(技術チェック、OSCEなど)を行う。また、参加型の学習を基本とし、専門知識、批判的思考、論理的思考、コミュニケーション力、倫理観など、助産師としての核となる臨床能力の基礎を養う。

「健康教育技法」では、健康教育の原理と技法を理解し、リプロダクティブ・ヘルスに関する相談・教育・援助技術の基本を習得する。この科目を基礎として、「健康教育実習」において、妊婦と家族を対象とした出産準備教室の企画・運営・評価を実施する。


【地域母子保健】

「地域母子保健」では、地域における母子保健サービスと保健・医療・福祉の多職種連携・協働を理解し、継続的な支援のあり方を考察する。また、地域における子育て世代を包括的に支援するために乳幼児(とくに産後4か月程度まで)をもつ母子のアセスメントのための知識と基礎的な技術を習得する。


【助産管理】

「助産管理学」では、助産業務の管理、助産所の運営の基本及び周産期医療システムについて理解する。また、周産期における医療安全の確保と医療事故への対応、平時の災害への備えと被災時の対応について理解する。


【臨地実習】

「助産診断・技術学」、「地域母子保健」及び「助産管理」の実習を含むものとする。

実習期間中に妊娠中期から産後1か月まで継続して受け持つ継続事例の実習を1例行う。

「助産学実習Ⅰ妊娠期」では、妊婦健康診査を通して妊娠経過の診断を行う能力を強化する。

「助産学実習Ⅱ分娩期」では、分娩の取扱いは、分娩の自然な経過を理解するため、助産師または医師の監督の下に、学生1人につき正常産を10回程度直接取り扱う。取り扱う分娩は、原則として正期産・経膣分娩・頭位単胎とし、分娩第1期から第3期終了より2時間までとする。

「助産学実習Ⅲ産褥期・新生児」では、産褥期の授乳支援や1か月健康診査までの母子のアセスメント及び母子と家族を支援する能力を強化する。

「地域母子保健実習」では、地域における子育て世代を包括的に支援するため、地域の診断や多職種の連携・協働のシステムを理解し、地域における助産師の母子保健活動の実際を学ぶ。また、助産所の管理・運営において、助産師の周産期医療システムの連携や子育て世代の支援の実際を学ぶ。また、産後4か月程度までの母子のアセスメントを行う内容とする。

 
 
助産学科では、以下のような能力を身につけ、かつ所定の単位を取得した学生は、卒業(修了)が認定され、助産師国家試験受験資格が与えられる。
 
1.助産師の役割と責務を自覚し、女性と子ども並びに家族の尊厳と権利を尊重する倫理観をもち、専門職として自律できるための基礎的能力を有する。 2.妊産褥婦及び胎児・新生児の健康状態を診断し、妊娠・分娩・産褥がより健康で安全に経過し、育児を主体的に行えるよう、根拠に基づき継続的に支援できる実践能力を有する。 3.女性の生涯を通じて、ライフサイクル各期における性と生殖に関する健康課題に対して、継続的に支援できるための基礎的能力を有する。 4.安心して子どもを産み育てるために、多職種と連携・協働しながら、個人及び社会にとって必要な地域の社会資源の活用や調整を行うことができる。 5.多様化する社会のニーズと、高度化する医療に対応できるよう、常に自己研鑽し続ける姿勢を身につけている。