小児がん - 小児外科このページを印刷する - 小児がん - 小児外科

小児外科について

小児の悪性腫瘍には白血病のような血液腫瘍以外にも、体の中のさまざまな部位にできる固形腫瘍があります。当院小児外科ではその中で骨や頭蓋内にできる腫瘍以外を治療しております。小児の代表的な固形腫瘍には神経芽腫、腎悪性腫瘍、肝悪性腫瘍などがあります。いずれの腫瘍も手術、化学療法(がん細胞を攻撃する抗がん剤を用いた治療)、放射線療法を組み合わせて治療を行います。

神経芽腫

副腎や、交感神経節と呼ばれる神経由来の組織に発生する腫瘍です。交感神経節は広範囲に存在しますので、腫瘍は腹部以外にも頚部、胸部、骨盤からも発生します。好発年齢は5歳以下で、発見時の症状には腹部膨満、発熱、顔色不良、四肢痛などがあります。治療は重症度に応じて手術、化学療法、放射線療法を組み合わせて行います。2000年~2021年の期間に当科で何らかの治療を行った患者様は37例で、高リスク群(重症度高く治りにくい)の患者様は13例中7例が生存中。中間リスク、低リスク群(重症度低い)の患者様は24例全例が生存しております。高リスク群の患者様の中には追加治療として、他院での骨髄移植や臍帯血移植、または免疫療法などが必要となる場合もあります。

腎悪性腫瘍

腎臓に発生する腫瘍で腎芽腫、腎明細胞肉腫、腎横紋筋肉腫様腫瘍があります。国内では年間80~100例が発生していると思われ,頻度は出生数1.2~1.5万 に1人とされています。発症年齢は1歳未満20 %,1歳30 %で半数は2歳前に発症しており,5歳までに90 %が発症します。腹部膨満または膨隆が最も一般的な症状で、その他腹痛や血尿、高血圧を認めることがあります。治療は、手術施行後に進行度、組織診断に応じて化学療法、放射線療法を追加します。当科で1990年~2020年の期間に当科で治療した腎悪性腫瘍は35例で、内訳は腎芽腫27例、腎明細胞肉腫4例、腎悪性横紋筋肉腫様腫瘍3例、先天性間葉芽腎症1例でした。先天性間葉芽腎症の1例は当然のことながら生存中、腎芽腫は27例中24例が生存、腎明細胞肉腫は4例中全例生存、腎悪性横紋筋肉腫様腫瘍は悪性度が高く予後が悪いのですが、3例中1例が長期に生存しております。

肝腫瘍

小児の肝臓にできる腫瘍で最も多いのは肝芽腫です。国内では年間40例程度が発生しているとされております。腹部に腫瘤を触れることで発見されます。治療で最も重要なことは手術により腫瘍を完全に切除してしまうことです。発見時に非常に大きくて切除困難な場合は化学療法を行い、腫瘍を小さくしてから切除します。小児の肝臓切除は高度な技術を要しますが、当科で2000年~2021年の期間に治療した患者様は11例中9例が生存しております。
小児の固形腫瘍の経験は中国四国地方では最も多い施設の1つです。腫瘤性の病気を発見された場合は小児外科にご相談ください。