がん診療への取り組み
「専門的ながん診療を支える総合力」
岡山医療センターの強みは、この一言に尽きます。
がん患者様には、がんを患ってらっしゃるだけではなく循環器疾患や糖尿病など、その他様々な疾患を併せて抱えてらっしゃる方が大変多いことをご存知でしょうか。そうした患者様へのがん診療においては、専門的ながん診療のみならず、様々な疾患を診療できる医療機関としての総合力が求められます。
当院は「地域がん診療連携拠点病院」であるとともに、全26診療科を有する総合病院です。現代の我が国において極めて重要な疾患へ位置づけられているがんに対して、がん専門医が先進的で高度ながん診療・治療に取り組んでいます。それとともに、総合病院の特長を活かし各専門科が多種多様ながんに対して診療・治療を行うのはもちろん、がんの状態に応じて複数の診療科が協力してがん診療・治療を行う体制が整っています。
さらには、がんに関連した身体的苦痛や精神的苦痛などの緩和を担い、がん患者様に対してトータルな診療を提供できるよう努めている「緩和ケアチーム」が各診療科を横断して活動しており、また、一般的ながんに関するご相談につきましては、「がん相談支援センター」を地域医療連携室内に設置し、がん患者様やご家族の方々の不安・お悩みや、提供可能な地域医療連携施設の紹介などに対応しており、がん診療・治療に対する万全の体制が整っています。
地域がん診療連携拠点病院について
「がん診療連携拠点病院」とは、全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、地域のがん医療水準の引き上げを行うことを目的とするもので、都道府県知事の推薦に基づき厚生労働大臣により指定されるものです。
当院は、「診療体制」「研修体制」「情報提供体制」の3項目について指定要件が満たされた医療機関として、平成20年2月8日に「地域がん診療連携拠点病院」に認定されました。
これは当院が、常勤のがん専門医による高度ながん診療を恒常的に、一定の品質とともに患者様へ提供できる医療機関であることの証明です。
がん登録(事務)室
はじめに
厚生労働省による令和5年(2023年)の人口動態統計によると、日本国民の年間死亡数は約157万6016人、死因の第1位は悪性新生物(その大部分は「がん」)38万2504人、第2位は心疾患23万1148人、第3位は老衰18万9919人、第4位は脳血管疾患10万4533人、第5位が肺炎7万5753人でした。悪性新生物の死亡数は昭和56年(1981年)以降ずっと日本人の死因の第1位です。
悪性新生物の部位別では、男性は悪性新生物による死亡22万1360人のうち、肺がんが最も多く、次いで大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんと続き、女性はがんによる死亡16万1144人のうち大腸がんが最も多く、次いで肺がん、膵臓がん、乳がん、胃がんでした。男女を合わせると、肺がんが最も多く、次いで大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんの順でした。
高齢化により、悪性新生物で亡くなる方が増加しており、男性では27.6%(約4人に1人)が、女性では20.8%(約5人に1人)が悪性新生物で亡くなると推計されています。診断学の進歩によって早期発見できれば完治する可能性の高い悪性新生物も増えてきていますので、定期的ながん検診を受けることが肝要です。また、がん予防として、運動、禁煙、節酒、食生活の見直し、適正体重の維持などを実践することも重要です。仮に進行した状態で見つかっても、分子標的治療薬の開発等により予後の改善効果が認められる腫瘍も増加していますので、悪性新生物がすぐさま死に直結しているとは思わない方が良い時代を迎えているといってもよいでしょう。しかし、依然として悪性新生物は国民の生命にとって重大な問題であることに変わりはありません。
「がん対策基本法」と「がん対策推進基本計画」
わが国のがん対策は、平成19年(2007年)に施行された「がん対策基本法」に基づき、政府が策定した「がん対策推進基本計画」にのっとり推進されてきました。「がん対策推進基本計画」でうたわれている「がん医療の均てん化」を目指すための医療機関の整備の一環として、厚生労働省は全国にがん診療連携拠点病院を461箇所(都道府県がん診療連携拠点病院51箇所、地域がん診療連携拠点病院348箇所(4 箇所が(特例型))、特定領域がん診療連携拠点病院1箇所、地域がん診療病院61 箇所)指定しました(令和6年4月1日現在)。
岡山医療センターは平成20年(2008年)からこの『地域がん診療連携拠点病院』に指定されています。
- 専門的ながん医療の推進
- 地域におけるがん診療連携協力
- がん患者さんに対する相談支援及び情報提供
- 院内がん登録
がん登録
「がん対策基本法」に基づいた「がん対策推進基本計画」の中で、がん登録の推進が揚げられています。それに基づき、岡山医療センターでは平成20年(2008年)にがん登録(事務)室を設置し、院内がん登録を開始しました。院内がん登録は、診療録などからその患者さんのがんについての情報を調べ、病理検査の結果はどうだったのか、いつ診断されて、がんの進行具合はどのくらいで、どんな治療を行なったのかなどの情報を収集し保存します。氏名・生年月日・住所という基本情報に加えて、がんという重大な疾患の情報を扱っていますので個人情報については情報流出が起きぬように厳重な管理を行っています。院内がん登録の情報は、自施設のがん診療の特徴を把握し、より良い医療に繋げることに活用され、また、行政においてはがん罹患率の推定、がん検診の評価、がん医療の評価等に利用されます。
院内がん登録の情報はわが国の現在・未来のがん患者さんにとって計り知れない貴重な財産となります。院内がん登録のデータは、1年に1回、国立がんセンターへの提出が義務づけられており、岡山医療センターでは2008年からデータの提出を行っています。
院内がん登録データの集計
いわゆる5大がん(肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、乳がん)を中心として統計解析を行なった結果を提示します。
- 2008年~2011年症例[PDF]
- 2012年~2017年症例[PDF]
- 2018年~2020年症例[PDF]
- 2021年症例[PDF]
- 2022年症例[PDF]
- 2023年症例[PDF]
院内がん登録情報の利用・提供について
登録により収集された情報は、下記の目的に利用・提供いたします。
- 院内がん登録全国集計を目的とする情報提供
- 全国がん、地域がん登録事業における都道府県への情報提供
- がん患者さんの予後調査、生存率の集計および分析
※院内で情報把握が困難な場合は、国立がん研究センターもしくは地方公共団体等による住民票照会や、他の医療機関への照会を行います - 他の医療機関等からの照会、予後調査等への回答
- 統計の作成および提供
- 診療活動の支援、研究、教育のための資料提供
- 院内がん登録二次利用についてのオプトアウト患者説明書[PDF]
- 国立がん研究センターが実施している診療の質評価指標(Quality Indicator、QI)研究[PDF]
上記の利用目的のうち同意しがたいものがある場合には、当院がん登録(事務)室(病院代表:086-294-9911)までお申し出ください。
なお、お申し出がないものについては、同意していただいたものとして取り扱わせていただきます。
お申し出については、いつでも撤回または変更などを行うことができます。
おわりに
がん登録から得られる情報は、がん診療、がん研究、そしてがん対策を効果的に行なう上で欠かせないものです。岡山医療センターでは、今後、さらに精度の高い院内がん登録を徹底して実施し、患者さんの個人情報が守られる範囲でさまざまな統計結果を順次このホームページ上に公開していく予定です。がん診療に関する情報を積極的に公開していくことで、岡山医療センターが皆様にさらに安心して受診していただける病院になるものと考えています。そのため今後とも皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
お問合せ先
不明な点がありましたら、がん登録室までお問い合わせください。
Tel (086) 294-9911(病院代表) 内線 4312