緩和ケアは、病気に伴う体と心のつらさを和らげ、その人らしく生きていく事を支えるケアの事です。患者さんだけではなく、ご家族もケアの対象としています。緩和ケアは治療が難しくなってから始めるものと誤解されやすいですが、緩和ケアを始めるのは病気が悪くなってからではありません。私は「もしかして、悪い病気かもしれない・・・。」と意識した時から、緩和ケアは必要と考えています。終末期ケアだけではなく、病期を問わず生じる患者さん・ご家族の問題をアセスメントし、多様な価値観・ニーズに応えられるよう、多職種と協働しながら、ケアの質を向上させることができるように努めていきたいと思います。
認定看護師の役割には、「実践」だけではなく、看護師に対する「指導」「相談」も含まれます。私たち看護師は患者さん・ご家族と関わらせていただく中で、時には無力感を感じ、苦しい日もあります。私自身も、看護に悩む事が多くありますが、そのような中でも行っている看護の意味付けを行い、支えてくれる存在がいるおかげで看護の仕事に魅力を感じ、やりがいを持って働くことができています。認定看護師となった今、私自身も一緒に働くスタッフに看護の力・やりがいを感じてもらえるように、認定看護師としての役割を果たしていきたいと思っています。
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患者さまとの関わりの場面 |
活動10年目となり、院内のがん看護に対する意識やスキルが向上してきたと感じています。毎月の事例検討を始めとした研修や勉強会による知識の普及、身近なスタッフが自信をもってがん看護に向き合える個別性を重視した支援などを実践してきました。これらのさまざまな相談指導の活動を通して、たくさんの仲間が増えてきたことが宝となっています。
緩和ケアは、がんと診断された時から、時にそれ以前から必要とされる関わりであり、多くのスタッフや幅広い分野のリソースナースと協働していくことで、その質を上げられることを実感しています。今後も、その大切な‘人財’と共に、がん患者さまやご家族への全人的ケアを充実させていきたいと思います。
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がん相談で対応している場面 |