検査のお話

■病院で行われる主な臨床検査■ ~免疫学的検査~

★その他

抗体とは、細菌やウイルスなどの外からの異物(抗原といいます)が体内に侵入してきたときに作られるものです。

自分のからだの成分に対しては、元来抗体は作らないし、つくる必要もありません。

しかし、何らかの異常によって、自己の体成分に対して抗体を作ってしまうことがあります。これが免疫反応をおこし病気を引き起こしてしまうのが、自己免疫性疾患と呼ばれる病気です。

検査項目(日本語名)
(よみかた)
基準範囲
( 単 位 )
おもな検査目的
なにを知るための検査なのか
RF(リウマチ因子)
≦15
IU/mL
リウマチ因子は慢性関節リウマチ患者に現れる自己抗体です。肝臓病の場合にも陽性になることがあります。
CRP (C反応性蛋白)
0.00~0.14
(mg/dL)
肺炎のように、体内に急性の炎症や組織の損傷を起こす病気(炎症性疾患という)のとき、血液中に増加してくるたんぱくの一種です。

★ウイルス血清

検査項目(日本語名)
(よみかた)
基準範囲
( 単 位 )
おもな検査目的
なにを知るための検査なのか
HCV抗体
(-)
B型肝炎と同様、輸血による感染の可能性は少なくなりました。HCV抗体はC型肝炎の検査として用いられます。
HIV抗原抗体
(-)
後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるエイズウイルス(HIV)の検査として用いられます。
HBs抗原
(-)
B型肝炎はかつては輸血後におこるものとしておそれられていましたが、現在はそのようなことはありません。HBs抗原が陽性の場合は、現在ウイルスに感染していることを示していますが、必ずしもB型肝炎を発病するものではありません。
HCV(HCV抗体)
(-)
B型肝炎と同様、輸血による感染の可能性は少なくなりました。HCV抗体はC型肝炎の検査として用いられます。
HIV(HIV抗体)
(-)
1981年、初めてアメリカで診断された免疫不前の病気で、世界中に広がっています。エイズウイルス(HIV)に感染するとヘルパーT細胞という免疫に重要な働きをしているリンパ球が減少し、細菌やウイルスに無抵抗となります。但し、エイズウイルスに感染してもすぐ発症するのではなく、およそ十年ぐらいかかって合併症で発症します。
HTLV-1抗体(ATLウイルス抗体)
(-)
ATLウイルス(成人T細胞性白血病ウイルスまたはHTLV-1ウイルス)は、白血病の一種である成人T細胞性白血病を引き起こします。このウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。しかし抗体の陽性者すべてが発症するわけではありません。

★非ウイルス性病原体

検査項目(日本語名)
(よみかた)
基準範囲
( 単 位 )
おもな検査目的
なにを知るための検査なのか
梅毒血清反応
RPR
TPAb(TP抗体) 

(-)
(-)
梅毒の検査にはいくつかの検査法がありますが、いずれか2法の結果を総合的にします。しかし、いずれの検査も感染後ごく初期は陰性ですから、注意が必要です。
ASO
抗ストレプトリジン-O抗体
0~160
(IU/mL)
 
扁桃腺炎や咽頭炎を起こす病原菌としてA群溶血性連鎖球菌(略してA群溶連菌)があります。この溶連菌は扁桃炎だけでなく、免疫のしくみに作用して急性糸球体腎炎やリウマチ熱を起こすので検査は重要です。溶連菌に感染したときにできるASO(抗ストレプトリジン・O抗体)ASK(抗ストレプトキナーゼ抗体)を調べる検査です。

★血液型検査

検査項目(日本語名)
(よみかた)
基準値
( 単 位 )
おもな検査目的
なにを知るための検査なのか
血液型検査
  輸血する前に必要な検査です
不規則抗体検査
  輸血する前に必要な検査です。輸血に不都合となる抗体があるかを確認します。
交差適合試験
  輸血する前に赤血球製剤との適合性を確認するための検査です。

★アレルギーの検査

検査項目(日本語名)
(よみかた)
基準範囲
( 単 位 )
おもな検査目的
なにを知るための検査なのか
IgE
≦361
(IU/mL)
アレルギーの病気では、血中IgE(免疫グロブリン)が増加しています。IgEは肥満細胞や好塩基球との結合性が強く、IgEの結合したこれらの細胞にアレルゲン(抗原)がくっつくと、いろいろな活性物質が放出され、じんましんやぜんそくが起こります。IgEの検査としては、血中IgEの総濃度を測定するものと特定のアレルゲンに対するIgE抗体量を測定するものがあります。