薬剤部では医薬品の調剤だけでなく、院内スタッフへの医薬品に関する様々な情報提供や抗がん剤の調製、また医師、看護師とともに医療の担い手として病棟活動などの積極的なチーム医療を行っています。
当院は平均在院日数が11.2日(令和元年度)と超急性期の医療を担っており、日々の業務が大変忙しいのが現状ですが、「すべては患者様のために」をモットーにスタッフが一丸となって業務に当たっています。当院薬剤師は患者様に効果的な薬物療法を提供し、かつ副作用から体を守る「薬の鉄人」として業務を行っています。
医師の処方に基づいて薬を調製し、患者様にお渡しする業務です。
当院ではオーダリングシステムが導入されており、医師が電子カルテに入力した内容が処方せんとして直接薬剤部で出力されるようになっています。この際、医薬品の量が適正であるか、他に使用される医薬品との相互作用などを必ず確認しています。
また、多くの薬を服用している患者様には、1回に服用する薬をまとめたり(一包化)、錠剤の服用が困難な患者様には医師に相談して粉薬に変更するなど、患者様が薬を服用しやすいように様々な工夫を行っています。
当院では外来患者様には原則として院外処方せんを発行しているため、主に入院中の患者様の調剤を中心に行なっています。(院外処方せん発行率 平成26年度:91%)
調剤内規へ《錠剤の一包化》 | 《散薬調剤》 |
《水薬調剤》 | 《最終監査》 |
医師の処方に基づいて、注射薬を患者様ごとに取り揃える業務です。
この際、医薬品の量が適切であるかや投与速度、混合時の安定性や配合変化、他に使用される医薬品との相互作用などを確認しています。
当院では注射自動払い出し装置が導入されており、医薬品の取り揃え、注射処方せんの発行、注射施用ラベルなどの作成が一施用ごとに払い出されるよう、システム化しています。
《払い出し風景》 | 《調剤風景》 |
《一施用ごとに取り揃え》 | 《毒薬、向精神薬等を表示することで注意喚起》 |
院内製剤とは市販品では充分な対応が出来ない場合などに、その必要性から医師の依頼を受けて病院内で調製する製剤のことです。
院内製剤は病院内で審査・承認されてはじめて使用することができます。
高カロリー輸液は手術などで口から食事を摂れない、または栄養摂取の不十分な患者様に対して栄養補給を目的として使用されるもので、中心静脈から投与されます。
そのため、医師から依頼のあったものについては無菌室のクリーンベンチで調製しています。
無菌室へは無菌性を保つために手指消毒を行った後、無塵衣に着替え、エアシャワーを浴びてから入室し、調製しています。
以前はNICU(新生児特定集中治療室)での調製に関しては、すべて、病棟の看護師が行っていましたが、平成26年度からは一部のものに関して、薬剤師が病棟のクリーンベンチで調製を行っています。
抗がん剤の中には薬理作用の強いものが多くあるため、患者様に無菌で安全な製剤を提供することと医療従事者自身を抗がん剤による暴露から守るために安全キャビネット内で調製を行なっています。
当院では抗がん剤無菌調製監査システムを導入しており、前日の取り揃えや調製の際は医薬品のバーコード認証を行うことでリスクを回避しています。
また、処方ごとに調製手順や薬液の抜き取り量をモニターに表示するなど、安全性と正確性を向上させています。(音声ガイダンスあり)
監査時には抜き取り量の重量、シリンジの画像撮影による秤取量の2項目を確認し、調製の記録を行っています。
《取り揃え時のバーコード認証》 | 《調製時のバーコード認証》 |
《モニターのガイダンスに沿って調製》 | 《フットペダルでパソコン操作》 |
《モニターに溶解液量や抜き取り量を表示》 | 《シリンジの秤取量を撮影》 |
平成23年11月に外来化学療法センターが新たに開設され、病床は以前の4床から14床に増床されました。
センターには薬剤師も常駐しており、抗がん剤の調製だけでなく、外来患者様に適切な化学療法を行って頂くため、治療の内容、副作用などについて詳しく説明することにより、患者様の疑問や不安等の解消に努めています。
外来、病棟、手術室など院内すべての医薬品の管理を行なっています。
薬剤師が管理することにより、患者様に適正な薬剤を提供できるよう環境整備に努めています。
医療用麻薬は疼痛の緩和や手術において大変重要な薬剤です。
ただし、その性質上、乱用などの社会問題を引き起こしかねないため、法律により厳しく取り扱いや管理方法が規制されています。
そのため、麻薬管理者により医療用麻薬は管理されており、購入はもとより使用方法、使用量をはじめ、使用後の残液と空アンプルの確認を行うなど厳密な管理を行なっています。
医薬品の有効性や安全性などに関する様々な情報提供を医療従事者や患者様に行うことにより、医薬品の適正使用促進に努めています。そのため、医薬品に関する様々な情報を収集、専門的評価を行うなど加工して一元化した後、情報発信しています。
また、薬剤委員会を奇数月に開催し、医薬品の採用及び中止に関わること、医薬品の適正使用に関することなどを審議しています。
病棟に専任の薬剤師を配置して、患者様が服用しているお薬の効能、効果や服用上の注意点などについて、指導を行っています。また、薬の説明だけでなく、使用方法や飲み合わせに問題はないか、副作用の有無など薬物治療が適切に行なわれているかどうかなどを確認しています。
当院では患者様の持参薬鑑別を、原則、薬剤師が行っており、服薬内容の確認はもとより、院内に採用がない薬剤に関しては医師に代替薬の提案を行っています。
薬剤鑑別システムに内容を登録すると、その内容が電子カルテに反映されるようになっており、いつでも、医師、看護師等の医療従事者が確認できるようになっています。
《患者様への説明》 | 《持参薬鑑別風景》 |
※掲載は患者様の許可を得ています |
外来患者様にはお薬の名称、効能、効果、副作用、使用方法などの情報提供を行なっています。
糖尿病患者様のインスリン自己注射や喘息患者様の吸入薬など、特別な操作が必要な医薬品についても薬事相談室にて指導を行っています。
栄養サポートチーム(NST)、感染対策チーム(ICT)、緩和ケアチームなどの回診に参加して、薬剤師の視点から患者様の薬物治療を支援しています。
治験とは患者様のご協力の下、新しいお薬の候補について安全性と有効性を検討する臨床試験のことです。治験が適切かつ安全に行なわれるよう、治験コーディネーター(CRC)が様々なサポートを行なっています。
詳しくは治験管理室のホームページをご覧下さい。
治験管理室へ当院では、「妊娠と薬外来」を設置しており、薬剤師も医師と協同して、妊婦や妊娠希望者の皆様に医学的根拠に基づいた様々な情報提供を行っています。
詳しくは妊娠と薬外来のホームページをご覧ください。
妊娠と薬外来へ定期的に薬剤部内で新薬や各疾患の病態について勉強会を開催しています。
また、院内・院外の研修会に積極的に参加し、各種学会にも属して知識の向上に努めています。
医療におけるシミュレーション教育とは実際の臨床場面をイメージしたシナリオに沿って、学習者の行動を観察及び指導するとともに、デブリーフィング(振り返り)を行うことで参加者の自律的な思考を促すことのできる大変有用な教育法です。
当院薬剤部では平成26年度より岡山大学病院の協力の下、薬剤師によるシミュレーション教育に取り組んでいます。
平成18年度から薬学部6年制教育が始まり、平成22年度より病院や保険薬局において計5ヶ月間の長期実務実習が義務付けられました。当院は日本薬剤師研修センターの認定する「実務実習生受入施設」であり、令和元年度はⅡ期:1名、Ⅲ期:4名、Ⅳ期:4名の計9名を受け入れています。
当院は日本薬剤師研修センターの認定する「実務研修受入施設」であり、薬学6年制新カリキュラムで強化された医療薬学や長期実務実習の教育内容を、既に4年制過程を卒業した薬剤師の方々に体験してもらい、個々の知識や技能などのスキルアップが図れるよう支援することが可能です。
研修内容の詳細については薬剤師研修センターのホームページをご覧ください。
(財)日本薬剤師研修センター(外部のページにリンクしています。)当院では、外来受診をされた患者様には、原則として「院外処方せん」をお渡ししています。
処方せんにはお薬の名前や数量、使い方などが書かれています。この処方せんを保険薬局に持参されると、その薬局の薬剤師がお薬の内容や量、飲み合わせなどを確認したうえで調剤し、お薬をお渡ししています。院外処方せんによる調剤は何処の保険薬局でも可能ですが、特に複数の診療科、医療機関にかかられている方は「かかりつけ薬局」をお持ちいただくことをお勧めします。
発表学会 | 第2回日本臨床薬剤師シミュレーション教育研究会 |
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演題名 | 薬薬連携研修会へのシミュレーション教育の導入 |
分類 | 薬学教育・生涯教育 |
発表年月日 | 2019.6.15 |
発表学会 | 第13回日本緩和医療薬学会年会 |
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演題名 | 実務実習の標準化を目指して~国立病院機構中国四国グループ緩和ケア研究会の挑戦~ |
分類 | 薬学教育・生涯教育 |
発表年月日 | 2019.6.1 |
発表学会 | 日本緩和医療学会 第2回中国・四国支部学術大会 |
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演題名 | 終末期乳がん患者の呼吸困難にヒドロモルフォンが著効した1例 |
分類 | 薬物療法 |
発表年月日 | 2019.8.30 |
発表学会 | 第34回日本母乳哺育学会学術集会 |
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演題名 | 多職種連携による合併症に対する薬剤相談の取り組み |
分類 | 薬剤管理指導 |
発表年月日 | 2019.9.14 |
発表学会 | 第29回日本医療薬学会年会 |
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演題名 | NICU、GCU病棟入院症例におけるバンコマイシンの血中濃度に影響を与える因子に関する検討 |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.11.3 |
発表学会 | 第29回日本医療薬学会年会 |
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演題名 | 抗がん剤曝露対策における全抗がん剤への閉鎖式調製器具導入の効果 |
分類 | リスクマネジメント |
発表年月日 | 2019.11.3 |
発表学会 | 第8回くすりと糖尿病学会 |
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演題名 | 血糖自己測定器変更による薬剤師の取り組みと見えてきたもの |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.9.7 |
発表学会 | 第8回くすりと糖尿病学会 |
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演題名 | プレフィルド型インスリンデバイス新規導入糖尿病患者における使用感のアンケート調査 |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.9.7 |
発表学会 | 第8回くすりと糖尿病学会 |
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演題名 | Weekly GLP-1受容体作動薬デュラグルチドの服薬アドヒアランスについて |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.9.7 |
発表学会 | 第57回日本癌治療学会学術集会 |
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演題名 | ダラツムマブ投与におけるインフュージョンリアクションの出現状況の解析 |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.10.24 |
発表学会 | 東北周産期薬剤師研修会 |
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演題名 | AYA世代のがん薬物療法において薬剤師ができること |
分類 | 薬物療法 |
発表年月日 | 2019.9.21 |
発表学会 | 第57回中国四国地区国立病院薬学研究会 |
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演題名 | 発注業務の効率化をめざして |
分類 | 医薬品管理 |
発表年月日 | 2019.9.7 |
発表学会 | 第57回中国四国地区国立病院薬学研究会 |
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演題名 | 医療費削減効果を目的とした便秘治療薬の使用実績調査 |
分類 | 医薬品適正使用 |
発表年月日 | 2019.9.7 |
発表学会 | 第58回岡山県病院薬剤師会 がん薬物療法研究会 |
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演題名 | 血液腫瘍における薬物療法について |
分類 | 薬物療法 |
発表年月日 | 2019.4.20 |
発表学会 | 第5回乳がんチーム医療研究会in瀬戸内 |
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演題名 | エリブリンの有効性と安全性に影響を与える因子の検討 |
分類 | 薬物療法 |
発表年月日 | 2019.6.1 |