胃粘膜下腫瘍(図1)は胃壁内部に存在するため内視鏡での切除が難しく、標準療法は腹腔鏡手術を含む外科手術となっています。消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor: GIST)を代表とする胃粘膜下腫瘍はリンパ節転移率が低いことから、系統的リンパ節郭清を必要とせず、胃局所切除で治療が完結することが多いです。このため、低侵襲アプローチを通じて臓器機能の温存に努めることが望まれていました。

図1 胃粘膜下腫瘍
EFTRは、腹腔鏡を用いずに内視鏡のみで胃粘膜下腫瘍を含む胃壁を全層性に切除し、その後、内視鏡により欠損部の閉鎖を行うという手技です。2005年に日本で豚モデルを用いて初めて報告されましたが、日本では臨床応用の進展は限られていました。一方で、海外では、主に中国を中心に多数の報告がなされていました。その後、日本においても技術の開発が進み、2020年にはEFTRが「内視鏡的胃局所切除術」という名称で先進医療Aとして承認されました。当施設では、2024年8月に厚生労働省から中国四国地方で初めてEFTRを「先進医療A」として実施する承認を得ることができ、これまで10症例以上のEFTRを施行してきました。最近では、兵庫県や広島県など県外の医療機関からも患者さんが来院しています。
EFTRの主な利点は、胃壁欠損の範囲のみならず胃壁外組織(血管、迷走神経枝、脂肪組織など)への損傷を最小限に抑えられる点にあります(図2)。さらに腹腔鏡のためのポート挿入が不要であるため、腹壁切開に伴う創部の疼痛が軽減される点も大きな利点となります。

図2 EFTRの模式図
EFTRは全身麻酔下、手術室で行うことを原則に、以下の手順で行われます。
①内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection: ESD)の手技を用いて腫瘍周囲の粘膜を全周性に切開剥離し、固有筋層を露出させる(図3)。
②固有筋層の一部を意図的に穿孔させて全層切開とし、その切開を全周性に広げていく(図4)。
③腫瘍を切除後、回収用のデバイス(回収ネットなど)を用いて検体を経口的に取り出す。
④胃壁の欠損部を縫合閉鎖する(図5)。
![]() 図3 腫瘍周囲を切開剥離した状態 |
![]() 図4 全層切開された状態。 |
![]() 図5 クリップと糸を使用し |
EFTRは胃粘膜下腫瘍の治療における最も安全かつ効果的な選択肢となる可能性が期待されています。今後も、より低侵襲でより安全性の高い医療を地域に提供し続けるために、技術のさらなる向上と知見の蓄積に努めていきたいと考えています。

図6 手術室でのEFTR風景