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皮膚科

スタッフの紹介

医長
専攻医
専攻医
横溝 紗佑里 (よこみぞ さゆり)

概要・当科の特徴及び治療方針

一般的に皮膚疾患というと湿疹や水虫などを思い浮かべるかもしれませんが、皮膚科で扱う疾患は実はとても多彩です。当院では皮膚疾患全般にわたって幅広く診療していますが、病院の性質上、皮膚腫瘍、難治性皮膚疾患、全身性疾患の皮膚症状、皮膚科救急疾患などの急性期疾患を中心に診療しています。他の診療科で治療中に生じた皮膚合併症やトラブルなどに対しても、主科の先生方と連携して診療にあたっています。この中でも、皮膚腫瘍の診断・治療や皮膚外科手術には特に力を注いでいます。
現在常勤医2名、専攻医2名、非常勤医(週2回)1名で診療を行っています。スタッフ間で随時情報を共有しながら、One teamで対応しており、週2回のカンファレンスでは、各種疾患の正確な診断と治療について全員で検討し、患者様にとって最良の治療法を選択しています。

医療関係者の皆様へ

当科では地域の医療機関と密に連携して診療を行っております。ご紹介いただく際は、地域連携システムを介してご予約をいただくと受診がスムーズになります。緊急の対応にも可能な限り対応させていただきます。また、症状が安定した患者様は逆紹介させていただきます。

患者様へ

かかりつけの先生を介して、予約をとって受診していただくことをおすすめいたします。待ち時間が少なくなるなど診療がスムーズとなります。予約外で受診を希望される際には、待ち時間が長くなることなどにつきご了承をお願いいたします。受診の際は、お薬手帳など現在までの治療がわかるものをご持参ください。また、診察を円滑に行うため、着脱しやすい衣類を着用いただき、顔面に皮疹が出現している患者様は極力お化粧をせずに来院いただくよう、お願い致します。

外来日割表

午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後
皮膚科 浅越 健治 光線・処置外来 光線・処置外来 浅越 健治 光線・処置外来 光線・処置外来 浅越 健治 光線・処置外来
横溝 紗佑里 淺田 志乃舞 横溝 紗佑里
淺田 志乃舞 藤田 周作 藤田 周作
専門外来 浅越 健治

診療内容

皮膚疾患全般にわたって幅広く診療しています。皮膚腫瘍、難治性皮膚疾患、全身性疾患の皮膚症状、皮膚科救急疾患などに重点を置いています。特に皮膚悪性腫瘍の診断と治療には特に力を入れています。

皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)

紫外線の影響や高齢化などのため皮膚がんは増加傾向です。皮膚がんにはいくつかの種類があり、悪性度もさまざまです。さらにその進行度によっても予後は大きく変わります。当院皮膚科では皮膚悪性腫瘍の専門医が中心となって診断/治療を行っており、正確に診断して進行度を把握したうえ、ひとりひとりの患者様に適切な治療(手術、放射線治療、抗腫瘍薬、免疫療法、緩和的治療など)を選択するよう心がけています。
センチネルリンパ節生検という、リンパ節転移の早期診断を目的とする診断方法も導入しています。

図:皮膚がんの臨床所見。基底細胞癌(左)、悪性黒色腫(右)。

皮膚良性腫瘍

皮膚腫瘍の診断では良性の腫瘍か、悪性の腫瘍(いわゆるがん)かを区別することが重要です。まず、後で述べるダーモスコピーや超音波診断装置などの非侵襲的検査を用いて診察し、必要に応じて病理組織検査(皮膚生検)を行います。良性の腫瘍でも大きくなる可能性のあるもの、悪性腫瘍に進展する可能性のあるもの、生活上支障のあるものなどに対しては、それぞれの疾患に応じて適切な治療を行います。

難治性皮膚疾患:乾癬、水疱症、脱毛症、掌蹠多汗症など

皮膚疾患の中には慢性・再発性に経過するものがあり、生命にかかわらなくてもしばしば日常生活の質に影響を与えます。正確な診断に基づいて、種々の外用薬、内服薬、注射薬などによる薬物療法がおこなわれます。紫外線療法などの理学療法も組み合わせて治療をおこなっており、種々の皮膚疾患に対する有用性が証明されている紫外線治療機器(エキシマライト、ナローバンドUVB照射装置)も導入されています。
掌蹠多汗症に対しては外用剤の他、イオントフォレーシスによる治療もおこなっています。
なお当院は生物学的製剤の使用承認施設です。重症の乾癬患者様に対して生物学的製剤による治療が行われています。

図:尋常性天疱瘡の病理組織所見(左)、蛍光抗体法(右)

皮膚病変を伴う全身性疾患:膠原病、血管炎など

膠原病や血管炎などの全身性疾患は皮膚症状で発見されることも多く、皮膚病変からは重要な情報が得られます。「皮膚は内臓の鑑」といわれる所以です。疑わしい皮膚病変をみたら、皮膚生検をはじめとする必要な検査を行い、潜んでいる全身性疾患を見つけ出します。膠原病内科などと連携して診断・治療しています。

先天性皮膚疾患

周産期医療が充実している当院では、先天性の小児皮膚疾患(先天性水疱症、白皮症、角化症など)の診療機会も多く、専門の医療機関と連携して診断・治療をサポートしています。

湿疹・皮膚炎・じんましん

原因検索を行い、悪化因子を除去したうえで適切な治療を行います。難治性蕁麻疹、重症アトピー性皮膚炎などの患者様には生物学的製剤や分子標的薬による治療も適用されます。

皮膚感染症

ニキビ、とびひ、蜂窩織炎、ヘルペス、帯状疱疹、真菌感染症などが挙げられます。蜂窩織炎や帯状疱疹などの患者様で症状が強い場合には、入院のうえ点滴治療を行います。

皮膚科特殊検査

皮膚科領域では目で視るだけで診断がつく疾患も数多くありますが、必要に応じて適切な検査を行い正確に診断します。

ダーモスコピー

特殊な拡大レンズを使って皮膚病変を立体的に拡大し、詳細に観察します。ダーモスコピーを駆使し、より精度の高い診療を行っています。さまざまな疾患に用いられますが、特に皮膚腫瘍の診断に有用です(下図)。

図:ダーモスコピーによる診察。良性のホクロ(左)。悪性黒色腫(ホクロの癌、右)

皮膚超音波検査

皮膚腫瘍、皮下腫瘍、リンパ節の腫れなどの診断に用います。最新の高周波エコーを導入しており、1mm以下の単位で高精度な診療が可能となっています(下図)。

図:皮膚良性腫瘍(石灰化上皮腫、左)、および皮膚血管腫の超音波所見(右)


図: 皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌)の超音波所見。深達度を確認のうえ、鼻粘膜を残して切除

皮膚生検(病理組織検査)

局所麻酔をして直径数mm程度の小さな皮膚を採取し、組織診断します。
視診だけで診断の難しい疾患では、しばしば診断の根拠となります。

図:皮膚病理組織検査。基底細胞癌の臨床所見(左)。組織所見(右)

真菌検査

水虫などの真菌(カビ)を証明します。

図:白癬菌鏡検

細胞診

ヘルペスなどのウイルス感染症などで行います。

図:ヘルペス細胞診

皮膚アレルギー検査:パッチテスト、プリックテストなど

かぶれ、薬剤・食物アレルギーなどの原因検索に役立ちます。

光線検査

紫外線のどの光線に対する過敏症(アレルギー)を調べます。

センチネルリンパ節生検

皮膚がんのリンパ節転移を早期に診断します(前述)。


診療実績









教育・研究

当科での研修では、皮膚科医が日常的に遭遇する機会の多い疾患の診断、検査、治療を身につけることが可能です。同時に、急性期病院で対応すべき疾患を数多く経験し、基本的手術手技、免疫抑制剤/生物学的製剤/抗腫瘍薬などの特殊な薬物療法、悪性腫瘍や難治性皮膚疾患に対処する能力などを習得することを目的としています。
単なる見学でなく、参加型の研修を重視し、できるだけ研修医自身が問診し、皮疹を見て、考えて、assessmentしてもらうようにしています。また、担当医の指導のもとで、検査や基本手技を実際に経験し習得します。

研修目標

一般研修医

皮疹の特徴をつかみ、違いを認識できるようになる
皮疹を言葉で表現できるようになる:皮膚科医と共通認識を持てるようになる
皮疹からどの系統の皮膚疾患か鑑別できるようになる(皮膚炎、角化症、感染症、など)
基本的な検査を実施し、結果をある程度判定できるようになる

真菌検査、細胞診、アレルギー検査、皮膚生検、皮膚超音波検査、など

皮膚科で用いる外用剤の種類を知る
ステロイド外用剤の強さによる使い分けができるようになる
頻度の高い腫瘍性疾患を知る
全身疾患の特徴的皮膚症状を認識する
基本的な皮膚外科手技を習得する

Advanced course

全身疾患の特徴的皮膚症状を認識する
各種皮膚疾患の検査、治療計画の組み立て方を知る
さらに詳細な検査の施行と判断ができるようになる

特に皮膚超音波検査、ダーモスコピー、皮膚病理診断、など

基本的な皮膚外科手術の実施

指導医・指導体制と科の概要

常勤医2名、専攻医2名、非常勤医(週2回)1名が対応します。

研修の概要と特徴

経験可能な症例
代表的皮膚疾患は経験可能です。急性期病院の皮膚科診療に重点をおいています。
経験/習得可能な手技、検査
・皮膚外科手術:切開法、縫合法など
・創傷処置
・外用療法
・皮膚生検
・皮膚アレルギー検査:プリックテスト、パッチテスト
・微生物学的検査:真菌検査、細胞診

研修予定表

行事予定 曜日 時間
外来診療、処置 月、火、木曜日
水、金曜日
8:30~13:00
8:30~13:00, 14:00~16:00
手術 月、火、木曜日 午後
病棟回診、処置 月~金曜日 朝夕
臨床カンファレンス
組織カンファレンス
水曜日
木曜日
夕刻
夕刻
講義 不定 夕刻

将来の進路(専門研修に進んだ場合)と取得資格

将来的に皮膚科を目指す方はもちろん、他科医師を目指すが皮膚科をもう少し深く研修したい方にもお勧めです。岡山大学病院皮膚科の後期研修プログラムと連携しています。日本皮膚科学会専門医:所定の臨床研修を5年以上行い、講習会、学会発表、原著論文発表による必要単位取得者に専門医試験受験資格が与えられます。
さらに大学院進学や上級指導専門医(皮膚悪性腫瘍指導専門医、など)取得を目指すことも可能です。

当院での皮膚科研修についてのお問い合わせは皮膚科 医長 浅越健治までお願いします。

研究業績

2021年度 学会発表 論文