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綾 晃記(あや こうき)
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当院は故山内逸郎名誉院長が就任以来約50年に渡り岡山県の新生児医療の中核施設として活動しています。平成17年度より産科とともに岡山県の総合周産期母子医療センターに認定され、名実ともに岡山県の周産期・新生児医療の中心的役割を担っています。
その中で新生児科は、小児部門の中でも新生児(生後4週間未満の赤ちゃん)を専門に診療しています。特に産科・産院を退院する前の赤ちゃんを中心に診療するNICU(neonatal intensive care unit:新生児集中治療室)が当科の中核になりますが、現在は胎児も診療対象の大きな部分を占めるようになってきています。胎児から新生児、退院後は乳児期から学齢期までのフォローアップと、連続性のある診療で赤ちゃんとそのご家族を支援するのが新生児科です。
一般的には元気で生まれてくるはずと思われている赤ちゃんは、実は胎内環境から胎外生活への急激な変化に対応しきれず体調を崩すこともまれではありません。また、生まれながらのご病気のために胎児期、出生直後より入院・加療を必要とする赤ちゃんもいらっしゃいます。そのような赤ちゃんとそのご家族を、医師・看護師・助産師・心理士・薬剤師・理学療法士・臨床工学技師など、スタッフ全員で力をあわせて誠心誠意サポートさせていただきます。新生児センターの病床は50床(うちNICU:18床)であり、年間250-300人の赤ちゃんが当NICUに入院されています。365日24時間体制で赤ちゃんの後障害なき生存を目指しています。
早産・低出生体重児の治療は当科の最も重要な仕事であり、超低出生体重児(出生体重1000g未満)の救命率は全国でもトップレベルにあります。正期産児については、新生児仮死,呼吸障害,感染症などが診療の中心になりますが、先天異常を有する場合には小児外科、脳神経外科、眼科、形成外科などとの協力によりあらゆる疾患に対応しています。また重症な先天性心疾患児については岡山大学小児循環器科および心臓血管外科との連携により周術期管理を行っています。
NICUでは人工呼吸器管理は一般的な治療であり、年間50例以上に実施しています。また、重症新生児仮死に対する低体温療法、新生児遷延性肺高血圧症に対する一酸化窒素吸入療法・膜型人工肺(ECMO)、肺血流増加型先天性心疾患に対する低酸素換気療法などの特殊治療も可能です。更に、新生児医療には病的新生児のドクターズカーによる搬送も必須であり、新生児科医が同乗し24時間体制で行っています(約100件/年)。
NICUを退院された赤ちゃんの発育・発達のフォローアップも、入院中の管理と同じくらい重要な仕事になります。集中治療を必要とした赤ちゃんが、退院後はご家族のもとでなにごともなかったように育たれるように、新生児期から乳幼児期、学童期まで連続性のある診療・指導・援助を一般小児科との連携を深め充実させていきます。また、続発症や後障害を残した赤ちゃんがより高いQOLを得られるよう、一般小児科、小児外科と協力して診療にあたっています。
産科病棟の赤ちゃん(正期産児や在胎35-36週のLate preterm児)の管理も当科の重要な仕事です。母乳育児をはじめとした充実のサポートをお約束します。妊娠中に異常に気づかれた母体・胎児については、産科と連携し胎児診断・管理・治療も積極的に行っています。染色体異常症、奇形症候群、先天性心疾患、新生児外科・泌尿器疾患などの胎児診断症例が増加しています。
また当科は、産科と協力し母乳育児を中心とした赤ちゃんにやさしい医療を信条としています。その功績を認められユニセフ・WHOより"赤ちゃんにやさしい病院、Baby Friendly Hospital(BFH)に認定された先進国第1号の病院でもあります。母乳育児は産科病棟の赤ちゃんのみならず、NICUに入院された赤ちゃんについても積極的に支援を行っており、出生体重1000g未満の超低出生体重児の退院時の母乳育児率は7割を超えています。ファミリーセンタードケアの概念のもと、ご両親には面会時間を設けず365日24時間いつでもお子様への面会ができます。赤ちゃんのおじいちゃん・おばあちゃん、ごきょうだいにも面会していただけるようにしております。
臨床研究も盛んに行っており、全国学会の発表はもちろん国際学会にも積極的に参加し、発表を行っています。また当院の小児科・小児外科研修医には新生児医療研修を必修していただき、若手医師の研修の場としての役割も担っております。日本周産期・新生児医学会の新生児専門医制度新生児研修基幹施設に認定されており、新生児医療を専門とする先生方の研修にも力を入れています。
当院新生児センターは18床のNICUを有する新生児医療の専門施設です。ドクターズカーでのお迎え搬送もいつでも可能です。赤ちゃんの体調に関するご相談はもちろん、赤ちゃんをとりまく社会的問題にも積極的に関わって参りたいと思っております。どうぞご遠慮なく新生児科までご連絡ください。