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整形外科

スタッフの紹介


診療科紹介

1. 概要

整形外科は四肢運動器疾患を対象に治療を行っております。治療範囲は非常に広く、脊髄から末梢神経までの神経疾患、関節外科(人工関節や関節鏡、靭帯再建術を含む)、外傷(骨折、筋腱・靭帯損傷)外科学を中心に治療を行っております。治療内容は患者様の病態に合わせて外科的手術のみならず、適切な理学療法を指導いたしておりますが、特に手術療法は最先端医療を行っており、国内外からの手術見学希望者を受け入れている中核病院であります。


2.当科の特徴及び治療方針

脊椎・脊髄外科

脊椎・脊髄外科は以前より中四国の中心的医療機関の役割を担っております。年間手術件数は約600-700例で、治療に難渋する例の多い靭帯骨化症、脊柱変形、多数回脊椎手術例のような疾患の診療に常時対応しております。内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術 ( MED )、内視鏡下椎弓切除術(MEL)、全内視鏡下椎間板ヘルア摘出術(FED)、内視鏡下胸椎固定術( VATS )、最小侵襲腰椎前方固定術 ( mini ALIF )、側方経路腰椎椎体間固定術(LIF)などの体に負担の少ない最小侵襲手術、最先端手術を行っており、質・量ともにわが国の中心的役割を担っております。

より安全に手術を行うために、手術に応じて脊髄モニタリング、ナビゲーションや外視鏡を使用しております。脊髄モニタリングは、手術中にリアルタイムで神経の状態を確認することができ、神経に大きな負担のかかる手術に対して積極的に使用しています。金属のスクリューを使用する手術では、スクリュー挿入部の周囲には神経や血管などの重要な組織があるため、スクリュー挿入の際にはこれらの組織を損傷する可能性があります。ナビゲーション手術では、手術中にCTを撮影し、コンピューターの画面からどの位置にスクリューが挿入されているかリアルタイムで確認することができ、より安全にスクリューを挿入することが可能です。外視鏡は、2010年代後半から高感度・高画質・3Dの機能を備えたデジタルビデオカメラを装備したシステムとして開発された新しい拡大視器機です。微細な神経などを扱う手術で、最新の3D拡大視鏡である外視鏡を用いて安全に手術をすることが可能です。

関節外科(特に人工関節)

人工関節置換術は股関節では年間約130例の手術を行っており、患者様の年齢、骨質、形態などを考慮し手術を選択しております。最小侵襲アプローチ(minimally invasive surgery)の適応、人工関節の機種選択、骨セメント使用の有無、骨移植の有無を含めて患者様にあった治療法の選択を行っております。

人工膝関節置換術はより大きな関節の可動域を獲得するため、最新機種を導入し、日本人のライフスタイルに合わせた膝関節機能の回復を目指しております。人工関節置換術の年間症例数は年間約200例です。また、肩関節の人工関節では通常型の人工関節に加え、リバース型人工関節も行っており、100例を超える実績があります。脱臼や感染などの合併症もほぼなく良好な成績を得ております。

外傷(骨折、靭帯再建等)外科

外傷外科学においても、私どもはAO/ASIFを中心とした欧州外傷グループと協力し、最先端骨折治療を提供いたしております。その内容は

・寛骨臼骨折、骨盤輪損傷

これまでタブーとされてきた骨盤外傷の観血的治療法は現在、世界的には積極的に行われる傾向にあります。しかしながら、手術手技は極めて困難であり、合併症の重篤さを考慮すると誰でも行える手技ではありません。現在までに我々は計400例以上の寛骨臼骨折と骨盤輪損傷を観血的に治療してまいりました。その症例数と、学会報告、論文数は日本トップといっても過言ではありません。今後は、さらに低侵襲の手術を求め、コンピューター支援法を併用した最先端の手術を行っております。

・最小侵襲プレート骨接合法 ( MIPO )

AOプレート固定法というと解剖学的整復、強固な内固定というイメージがありますが、高エネルギー外傷による粉砕骨折、著明な骨粗鬆症を合併した高齢者の骨折は増加の一途をたどっています。我々は骨折部を展開することなく、遠位部あるいは近位部の小切開部からプレートを滑り込ませて固定するMIPO法を行っております。これまでに65例の症例を治療し、良好な成績を残しております。

そのほかにも偽関節18例、骨髄炎21例、変形癒合13例の治療を手がけており、これまで手付かずだった骨折観血的治療法の合併症例についても積極的に治療を行っております。

難治症例や、複雑で重篤な外傷患者は当科が最も得意とする分野であり、外傷、骨折治療でお困りの患者様がおられましたら気軽に当院地域連携室にご連絡ください。


3.医療関係者の皆さまへ

当科では保存治療に難渋する患者様に対して、手術療法を含めた最先端医療を積極的に行っております。手術後にリハビリテーションを施行しておりますが、患者様の状態に応じて転院や通院でのリハビリテーションをお願いさせていただく場合がございます。手術後は、当院とクリニックで病診連携し、双方からのよりきめ細やかな経過観察を目指しています。御紹介頂く際は、可能な限り地域連携を介して予約を頂くとスムーズになりますが、当日依頼も可能です。


4.患者さまへ

可能な限り、かかりつけの先生を介しての予約受診が待ち時間の関係で望ましいと考えます。当院かかりつけの患者様で予約外受診を希望される際は、受診前に電話連絡を頂くことで診察対応がスムーズになります。新患の患者様で受診を希望される際は、少しお待たせすることになりますが、ご了承ください。


5.関係している症状

手足の痺れ、麻痺:徐々に進行する手足のしびれは脊髄における神経圧迫の可能性があります。脳内に異常がある場合も上記を認める場合がありますが、その場合は頭痛を伴うことや、急性に生じることが多いです。いずれにしろ、四肢の知覚障害や運動障害を認めた場合は受診してください。

歩行障害:

歩行障害は種々の原因で生じます。脊髄内で神経の圧迫を生じた場合は下肢の筋力低下や間欠性跛行といって長時間歩けないような症状を呈します。また関節の軟骨が磨り減って生じる変形性関節症も歩行障害の原因です。このような症状を認めた場合はお気軽に当科受診をしてください。

関節痛、関節の腫れ:

関節の軟骨が磨り減って生じる変形性関節症はその程度によって保存的治療から人工関節置換術まで様々な治療法が選択されます。また関節の炎症を生じれば関節に水が貯まったり、痛みの原因になります。関節の腫れは変形性関節症や関節リウマチ、痛風など様々な原因によって生じます。このような症状が続く場合は早期に専門医を受診してください。

骨折、脱臼:

外傷のため骨折を生じることは珍しいことではありません。しかしながらその治療は各施設によって驚くほど様々で、治療成績は決して同じものではありません。骨折治療法を誤ると四肢の機能障害をきたします。当科では、できるだけ早期に、完全な機能回復が可能となるように最新治療法を行っております。骨折治療後の長期間のギプス固定はもう古い治療であると認識していただき、当科にお気軽にご相談ください。


6.診療内容(実績を含む)、治療している主な病気

脊椎病変:

頚椎症性脊髄症、靭帯骨化症(後縦靭帯、前縦靭帯、黄色靭帯)、脊柱管狭窄症、脊椎分離症、脊椎すべり症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、脊椎腫瘍、脊椎圧迫骨折、透析脊椎症、化膿性脊椎炎、リウマチ性脊椎炎など

変性疾患:

変形股関節症、大腿骨頭壊死、変形性膝関節症、変形性足関節症、外反母趾、変形性肩関節症

骨折後合併症:

感染、変形治癒、癒合不全など。