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総合診療内科

スタッフの紹介


概要

当院の総合診療科は、1999年に救急診療の充実、どの診療科にも属さない患者さんの診療、外来での他診療科との連携、そして若手医師への教育の必要性から前身である一般内科が開設されました。2004年に現在の田益へ移転した時から正式に総合診療科という名称を掲げました。総合診療科は、高齢者、施設入所者、他の医療機関で診断がつかなかった患者さんを多く診療しています。こういった患者さんの多くは、複数の医学的、社会的問題が絡み合い複雑化していることがあります。それらの問題に対し、医療の面だけではなく、介護や福祉の視点で考え、患者さんだけではなく、家族のことも考慮し、今後の生活をより良くしていく方法を考えています。

一般的な専門診療科との違いを尋ねられることがよくあります。特定の臓器体系について組織・分子のレベルまでより深く診ていくのが専門診療科であり、問題のある臓器から、個人やその家族までを診療の対象とするのが総合診療科のなかでも、当院のような病院総合医であるといえます。


当科の特徴

総合診療科という診療科は、他の専門診療科と比べ、比較的歴史の浅い診療科です。多くの病院に総合診療科がありますが、内容は様々です。

当院の総合診療科は、総合病院の総合診療科として多くの専門診療科と連携を取りながら診療に当たっています。多くの専門診療科を纏めることもあれば、専門診療科が力を出すための総合的なバックアップをすることもあります。当科で多く診ている高齢者の診療は、医療・医学的な正しさのみならず倫理面、医療経済な側面も重要であり、また家族にとっても最適な選択ができるよう、皆で相談しながらより良い医療を提供しています。


医療関係者の皆様へ

総合診療科の診療は、総合診療科単科で完結することもありますが、他の専門科と連携して診療することも少なくありません。ご紹介いただく際は、地域連携室をご予約いただければと考えていますが、ご紹介の内容によっては曜日の調整をお願いすることもございます。ご紹介の際は、ある程度日程に余裕をいただけると幸いです。緊急性のある場合は、救急外来への紹介をご検討お願いいたします。


患者様へ

かかりつけの先生を介して予約をお願いします。当科の外来では、基本的に長期的なフォローアップはせず、急性期の問題が解決したところでかかりつけの先生の診療へ戻っていただいております。また、初診の患者様が多いため、お一人お一人時間をかけて診療する傾向があります、多少の待ち時間がございますが、ご了承ください。

曜日別外来表
午前 服部 瑞穂 岩本 佳隆(再診のみ) 岩本 佳隆 岡本 啓典(再診のみ) 岡本 啓典

診療内容

総合診療科の診療内容は各内科のみならず、外科・整形外科・耳鼻科・皮膚科・老年科など多分野にわたった診療を行っています。総合診療科単独での診療に留まらず、総合病院として多くの専門科と共に、患者様それぞれの状況に合わせた最適な診療を提供しています。

総合診療科の病床は8A病棟に15床ですが、救急患者を柔軟に受け入れるため、実数は15床よりも多くの病床を運用しています。年々、年間の入院患者数や全入院患者に対する割合も増えており、今後も成長が期待できます。近年では、COVID-19の入院対応も行っています。




総合診療科の入院患者は、様々な分野の疾患が混在するのが特徴ですが、当院の総合診療科では、感染症の割合が特に高くなっています。2021年度は入院患者の6割を感染症患者が占めていました。さらに、感染症患者も様々な臓器の感染症の診療を行っていますが、中では誤嚥性肺炎の割合が多く、感染症患者の3割を超えます。患者の5-6人に1人は誤嚥性肺炎の患者がいる計算になります。これは、地域の高齢者施設からの受け入れが多いこと、そもそも入院患者の中の高齢者の割合が多いことに由るものでしょう。



嚥下障害

近年では『嚥下障害』よりも「摂食嚥下障害」という用語が使用されます。嚥下に先行した過程も食物摂取には重要という意識が広がった結果です。『摂食障害』を単独で使用した場合には、拒食症などの摂食行動の異常を指す言葉となります。

摂食嚥下は、下図のような5段階で構成されます。口腔期、咽頭期、食道期の後半3段階がこれまで嚥下と呼ばれていた範囲で、この段階の異常が嚥下障害と呼ばれていました。

認知期は、口に入れる前の段階のことで、この段階の代表的な異常は、認知症のため食べ物を認識できなかったり、脳梗塞による麻痺で道具が使えない、というものがあります。

準備期は、口に食事を入れてから嚥下を始める前までの段階で、歯(義歯)、舌、口腔が機能しています。これらの機能に問題があると、『噛めない』『味わえない』ために食べられない、という問題が生じます。

認知期、準備期の後に嚥下が始まります。以降の段階は全て神経で不随意にコントロールされ、意識や知覚の影響は受けません。確実に気道を守ることができるような構造になっています。脳神経疾患、筋疾患などで嚥下機能の低下がみられますが、本来、嚥下は呼吸よりも先に胎児の時期から行っている行為のため、嚥下機能低下は重大かつ改善しにくい問題です。


誤嚥性肺炎

摂食嚥下障害を背景に起きる肺炎で、多くは高齢者の食事摂取に関連して発症します。長期療養病床や介護施設入所中の高齢者は摂食嚥下障害と経口摂取不能がリスク因子として挙げられます。また、認知症、胃瘻造設患者も多くみられます。原因微生物としては、通常の肺炎の起因菌の他に、腸内細菌科の報告が多く、近年では耐性菌も高頻度で見られます。


嚥下機能評価

総合診療科では、嚥下機能低下が疑われる高齢者に対し、嚥下機能評価を行っています。

検査は嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査の2種類があり、状況によってどちらか一方もしくは両方で評価を行います。


図 1 嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査

診療内容

2022年度学会発表

第96回日本感染症学会総会・学術講演会 (2022年4月)
●当院で診断した重症熱性血小板減少症候群(SFTS)6例における診断時の血清中ウイルスコピー数と転帰についての検討
第126回内科学会中国地方会 (2022年5月)
●好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に好酸球性心筋炎を合併した1例 ●唾液の誤嚥により陰圧性肺水腫を生じた1例
第67回日本呼吸器学会 中国・四国地方会 (2022年12月)
●可逆性脳梁膨大部病変(MERS)を合併したオウム病の一例
第127回内科学会中国地方会 (2022年12月)
●不明熱を契機に診断に至った無汗症の1例 ●卵形マラリアの1例
第26回日本病院総合診療医学会学術総会 (2023年2月)
●術後の持続する発熱を契機に無汗症と診断した1例 ●可逆性脳梁膨大部病変(MERS)を伴ったオウム病の一例