トップページ診療・部門の紹介診療科  

呼吸器外科

スタッフの紹介

【呼吸器外科の紹介】

呼吸器外科では胸の中にある肺、縦隔などの病気を中心に手術を行っています。病気の診断、評価は呼吸器内科、放射線科、病理診断科と連携して行われ、手術で良くなる状況かどうかを判断しています。

手術症例の6~7割は肺がんであり、命に関わる病気でもあるため肺がんには最も力を入れています。がんを治すことにこだわり、手術手技はもちろん、放射線、薬物療法を組み合わせることにより手術で治るかどうか、ぎりぎりのところで差のつく高度な医療を提供できるよう心掛けています。病気が見つかった今、過去には戻れません。現在の正確な評価と適切な治療の選択が必要となります。

一方、最近増えているご高齢の患者さんなどにおいては手術に耐えうるか、術後の肺の機能は大丈夫か、などご本人、ご家族ともに心配されるケースが増えています。正確な評価、情報提供を行うとともにご本人、ご家族の意志を尊重して幅広い選択肢の中で治療方針を決定しています。

その他、気胸縦隔腫瘍などの多くの病気、難治性の病気などに対しても対応しています。最近増えている肺気腫、間質性肺炎、塵肺などに合併する難治性の気胸に対しては根気よく治療にあたる必要があり呼吸器内科、放射線科と話し合い、多くの治療戦略を立てて対応しています。

今では多くの病院で取り入れられている胸腔鏡下手術に関してですが、当院では患者さんへの手術による体の負担、痛みを減らすため、また創部の綺麗さにこだわって、積極的に導入してきました。手術器具も年々進化しており、より安全になっています。さらに身体への負担を少なくする試みもありますが、当院の役割としては実績ある手技の技術を限りなく高めて患者さんに提供するスタンスです。

一般に肺の手術は難易度が高い手技とされています。病気を知らされて、また手術を受けることになって目の前が真っ暗な状態の患者さんが多いのが事実です。安心して手術を受け、笑顔で退院できるようスタッフ一同、応援致します。

ザ・ジャーナルvol.17 No.2より呼吸器外科の紹介

【呼吸器外科で扱う主な病気】

肺の腫瘍

肺癌、転移性肺腫瘍、肺内悪性リンパ腫、過誤腫、硬化性血管腫など

肺の炎症性疾患

肺真菌症、肺抗酸菌感染症(結核腫など)、気管支拡張症、肺膿瘍など

肺の嚢胞性疾患

気胸、気腫性肺嚢胞など

胸膜の病気

膿胸、悪性胸膜中皮腫など

縦隔の病気

縦隔腫瘍(胸腺腫、胚細胞腫瘍、神経原性腫瘍、気管支嚢胞など)、縦隔炎、重症筋無力症など

肋骨、横隔膜の病気

外傷

多発肋骨骨折、血胸、肺・気管支損傷など

その他

肺動静脈瘻、肺分画症など

【当院・当科の特徴】

  1. 呼吸器外科で手術を受ける場合、当院病棟最上階である10階の呼吸器専門病棟に入院となります。呼吸器系に専門性の高い医療・看護を安心して受けられると思います。また患者さん同士のコミュニケーションも取りやすい環境ですので話し相手はすぐ見つかると思います。景色も良いです。高い位置から朝日に照らされる山々、高速道路を走る車、備前富士(勝手に命名)などを眺めるのも気分転換になるかもしれません。
  2. 手術は1に安全、2に根治性(癌を取りきる)、3に術後の痛み軽減・創部の綺麗さ、にこだわっています。以前から手術の多くを胸腔鏡下に行っています。1 、2を担保しつつ3にも貢献できています。
  3. 通常の肺がんの手術の場合、当院では手術の1~2日前に入院してもらっています。手術は全身麻酔に硬膜外麻酔を併用して行われ、手術時間は数時間、出血量は20ml前後となります。術翌日から食事を開始し術後3日目には身体にはほとんど何もついていない状態にもっていきます。術後疼痛なども考慮し術後7~10日目の退院としています。術後5年間は定期診察、必要により加療することになります。
  4. 肺がんの治療は長期にわたることが多いため、患者さんに対しては呼吸器外科以外に呼吸器内科、放射線科、看護師、薬剤師、理学療法士など多くのスタッフが関与します。スタッフ全員で患者さんを支えます。

【一般的な肺癌に対する外科治療の流れ】

かかりつけ医などの検査で異常を指摘
(胸部X線、胸部CTなどで肺がんが疑われる)

当院呼吸器内科へ紹介
(画像の説明など)

気管支鏡検査(3日入院)
(肺がんの診断をつける)

PET検査
頭部MRI検査
(現時点での肺がんの拡がりの程度を評価)

呼吸器内科から呼吸器外科へ紹介
(手術に耐えられるかどうか評価)

手術の説明
(手術方法、術後合併症などについて)

手術(前日入院、術後7日前後で退院)

外来通院(半年毎、約5年間)


CTから3次元画像を作成 手術風景

【診療体制】

外来日:月曜日・木曜日・金曜日
手術日:火曜日・水曜日

【手術実績】

2021年手術件数(全身麻酔)

原発性肺癌 100
転移性肺腫瘍 6
気胸 18
縦隔腫瘍 9
炎症性肺疾患 2
その他 25
160

 

手術件数の推移(全身麻酔)

手術件数の推移(全身麻酔)

当科で手術した原発性肺癌の病期

臨床病期 病理病期
stage 0 3 13
stage ⅠA1 24 13
stage ⅠA2 19 16
stage ⅠA3 25 11
stage ⅠB 11 15
stage ⅡA 1 2
stage ⅡB 5 12
stage ⅢA 10 13
stage ⅢB 1 3
stage ⅣA 1 2
100 100

(2021年)



原発性肺癌に対する手術術式

術式 開胸 胸腔鏡
肺葉切除以上
周囲臓器合併切除 8 0 8
2葉切除以上 3 0 3
肺葉切除+リンパ節郭清 11 47 58
複雑区域切除 1 8 9
単純区域切除 2 3 5
部分切除 1 16 17
26 74 100

(2021年)



原発性肺癌に対する区域切除

S2 1 S1+2c 1
S8 1 S3 1
S8a 1 上区 3
S8+9 1 S6 2
S8 1
S9+10 1
S10 1

(2021年)