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脳神経内科

スタッフの紹介

医長
医師
医師
専攻医
樹下 明典(きのした あきのり)

概要

当院脳神経内科は脳・脊髄、末梢神経、筋肉の病気を内科的に診断・治療をしています。24時間365日on call体制で脳卒中急性期の診断・治療を行っています。2007年7月よりSCU(stroke care unit)を4床作り、tPA治療を含めた急性期治療に役立てています。さらに、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、重症筋無力症といった神経難病、さらには脳炎・髄膜炎の感染症、てんかん、ギラン・バレー症候群やCIDPといった末梢神経障害など急性期から慢性期に及ぶ多数の疾患の診断治療を行っています。


当科の特徴及び治療方針

当科の最大の特徴は脳卒中の急性期治療です。2003年7月に脳卒中センターを設立し、24時間365日on call体制で脳卒中急性期の診断・治療を行っています。2007年7月よりSCU(stroke care unit)を4床作り、tPA治療を含めた急性期治療に役立てています。2019年10月に一次脳卒中センターの認定を受けました。超急性期の診断治療から後遺症を少なくするためのリハビリテーションを一貫した体制で行います。総合病院の利点を生かして脳神経外科、循環器内科、麻酔科など他科と密接に連携して専門治療を行います。さらにパーキンソン病/パーキンソン症候群、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症/視神経脊髄炎、重症筋無力症といった神経難病や認知症の診療治療、脳炎・髄膜炎といった感染症、てんかん、ギラン・バレー症候群やCIDPの治療、眼瞼痙攣、顔面痙攣、痙性斜頚、痙縮に対するボトックス治療、PSG検査を導入しCPAPによる睡眠時無呼吸症候群の治療、痙性対麻痺に対するバクロフェン髄注療法、Reveal LINQを使った心房細動検出等を行っています。


医療関係者の皆様へ

脳卒中の診療には動脈硬化性疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)のコントロールが大変重要です。そのため日頃から病診連携を密に行っています。急な症状の出現に対してはホットラインを設け救急対応を行っています。慢性的な症状に対しても病態を明らかにするために精査を行っています。気軽にご紹介をいただければと思います。


患者様へ

当科で扱う症状の内、多いのはめまい、しびれ、頭痛ですが、そのほか物忘れ、振るえ、動作がにぶくなった、意識が飛んだ等多彩な症状を診ています。基本的にはかかりつけの先生を介して予約受診をしていただくようになりますが、急な症状が出現した場合は迷うことなく救急外来を受診してください。


曜日別外来表
 
午前
表 芳夫
奈良井 恒
高宮 資宜
奈良井 恒
高宮 資宜
表 芳夫
午後
奈良井 恒
 
奈良井 恒

診療内容

診療内容は脳卒中、パーキンソン病/パーキンソン症候群、アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症/多系統萎縮症、脳炎/髄膜炎、多発性硬化症/視神経脊髄炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、CIDP、てんかん、多発筋炎、神経ベーチェット病、神経サルコイドーシス、睡眠時無呼吸症候群といった多岐に渡っています。各科の専門医とも連携をとり最適な医療を提供することを心がけています。






脳卒中

我が国の脳卒中による死亡者数は年間約14万人で減少傾向にあるものの、悪性腫瘍、心疾患、肺炎に次いで第4位です。脳卒中患者数は約170万人ですが、人口の高齢化に伴い2020年には300万人に達すると予測されています。さらに寝たきりを含む要介護者124万人のうち30~40%は脳卒中が原因とされ、寝たきり原因のトップです。このように脳卒中は医学的にも社会的にもきわめて重要な疾患と考えられます。当院では2003年7月に脳神経外科と脳神経内科が共同で脳卒中センターを設立しました。24時間365日on call体制で急性期脳卒中患者を受け入れてきました。2005年10月我が国でも組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)が脳梗塞の超急性期治療薬として認可され、米国同様、脳卒中をbrain attackと呼び重要性が強調されるようになりました。発症から治療まで切れ目のない迅速な受け入れをするためには脳卒中救急医療体制の確立が急務です。2007年7月より脳卒中集中治療室(SCU:Stroke Care Unit、4床)を設立しました。ホットラインを設置し救急隊やかかりつけ医から直接連絡を受ける体制にしています。さらに2012年8月t-PA静注療法が発症後4.5時間以内に適応が拡大されました。現在(2022年4月)までに200名にt-PA静注療法を行い約70%で良好な結果を得ています。さらに、2010年より血管内治療が出来るようになりました。カテーテルという細い管を用いて血栓を回収し血流の再開通が得られるようになり治療成績が向上しました。当院としてはdrip and shipで対応しています。


頭部MRI


頭部CT


頚動脈エコー




パーキンソン病/パーキンソン症候群

パーキンソン病は黒質-線状体系のドパミン神経が緩徐進行性に変性脱落する疾患です。主な症状は安静時振戦、無動、固縮、姿勢反射障害、自律神経症状、精神症状などです。有病率は100人/10万人、50歳以上では100人に1人、中年期以降に発病し60歳代にピークがあるといわれています。パーキンソン病によく似た症状を呈するパーキンソン症候群との鑑別が重要です。当科は可能な限り検査入院をしていただき、症状の評価を行い、詳しい検査を行っています。パーキンソン病はドパミン補充療法が有効です。


アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は脳の神経細胞が通常より早く減ってしまうことで認知機能が徐々に低下していく疾患です。昔の記憶はあるものの最近のことを覚えることができず、同じ事を何度も繰り返し聞いたり、日付が分からない、約束を忘れるなどの症状が起こります。有病率は20人/10万人、65歳以上で多く、高齢化に伴い増えていくことが予想されます。薬物療法(コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬)だけでなく適切なケアが重要です。当科では画像検査、神経心理検査などによる診断、治療を行っています。


てんかん

てんかんは脳が一時的に過剰に興奮することで、意識消失やけいれんなどのてんかん発作を繰り返し引き起こす疾患です。有病率は500-800人/10万人で、小児と高齢者で発症率が高くなります。脳波検査は必須の検査ですが、外来の脳波は30分から1時間程度で、脳波中にてんかん発作を同定することは通常困難であり、入院して24時間脳波とビデオを同時記録する検査を行う事があります。

脳波検査

免疫性神経疾患(多発性硬化症/視神経脊髄炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、CIDP等)

自己免疫機序による神経疾患である免疫性神経疾患には、中枢神経(大脳・小脳・脳幹・脊髄)、末梢神経、神経筋接合部から筋肉まで幅広い領域の疾患が含まれます。指定難病も多く含まれています。近年病態の解明に大きく進歩がみられ、分子レベルの治療法開発が進められています。当科では最新の治療を行っています。

神経/筋生検

教育・研究

医師としてやりがいを感じる最高の瞬間はいつでしょうか。原因がよくわからない病気の診断ができて、治療を行うことで患者さんが良くなり「先生、良くなりました。有り難うございました」と言われた瞬間ではないでしょうか。脳神経内科はそうしたやりがいを感じることができる診療科だと思っています。最近経験した症例ですが、急性発症の構音障害、右片麻痺を呈した40歳代の女性でした。発症2時間以内に来院し頭部MRIで左放線冠に脳梗塞を認めました。すぐにtPA療法(経静脈的血栓溶解療法)を行い、著効し症状は消失して退院となりました。しかし臨床上の疑問点として網膜色素変性症の既往があり若年発症で特異な顔貌、手関節の拘縮を認めました。何らかの先天性代謝疾患の可能性を考えさらに精査を行いました。その結果ムコ多糖症I型(Scheie症候群)の診断にたどり着くことができました。弁膜症を合併することがあり脳梗塞の原因と考えられました。Scheie症候群はムコ多糖症の中でも軽症で知能障害もなく診断が遅れる場合が多いようです。その後酵素補充療法を継続して行っています。このように臨床症状を細かく観察し、検査データと合わせて鑑別診断を考えます。それを一つ一つつぶして行くという地道な作業を必要とします。このような「考える臨床」を我々は目指しています。

当科は常勤医師4名(全て日本神経内科学会専門医)、ローテーションで回っている研修医、内科専攻医数名で診療を行っています。入院患者は常勤医、専攻医での複数主治医制です。1日あたり平均20名程度の入院患者をSCU4床、脳神経系病棟(9A)40床で診療しています。

卒後1,2年目は初期研修医としてローテーションします。卒後3-5年目は内科専攻医として当院の内科専攻医プログラムに準じて研修を行います。専攻医1年目は半年間脳神経内科以外の内科研修、半年間は脳神経内科研修、2年目は連携病院での研修、3年目は脳神経内科の専門研修になります。各期間通じて問診、神経学的所見の取り方、鑑別診断、画像診断、頚動脈エコー、髄液検査、各種疾患の薬物療法を研修します。急性期疾患から慢性期疾患まで幅広い臨床を行っているのが当科の特徴です。神経疾患は知識を系統的に整理し、神経学的所見をとり、部位診断、鑑別診断を考え、それに応じた検査計画を立てます。原因を追究するプロセスは、複雑な謎解きに挑戦する「スリルとサスペンス」に満ちたものです。脳神経内科の対象となる疾患は非常に多く、これからますます社会が高齢化して行き、ニーズも大きくなることが予想されます。患者さんにとって役に立つ脳神経内科を目標にして診療しています。

また、当院は日本神経学会教育施設、日本脳卒中学会教育施設、日本認知症学会教育施設に認定されています。それぞれの専門医を受験する資格を得ることができます。


カンファレンスの日程は以下の通りです。
行事予定
曜日
時間
脳神経内科・脳外科合同カンファレンス
火曜日
8:30-9:00
脳神経内科新患カンファレンス
火曜日
9:00-9:30
頚動脈エコー回診
火曜日
9:30-10:30
脳神経内科病棟回診
木曜日
15:00-16:00
脳神経内科症例報告会
最終金曜日
18:00-19:00

業績

貴重な症例を論文化し、国内外の学会、研究会に参加し情報発信を行っています。いままでの業績は以下の通りです。
英文和文学会