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上部消化管外科部門

診療科紹介

上部消化管外科部門(野﨑・松村)

上部消化管外科で担当するのは主に食道と胃の疾患です。年間の手術件数は最近5年間の平均で胃癌が50例、食道癌が5例程度です。

胸腔鏡下食道癌手術

食道はのどから胃まで食事を送るチューブのような消化管です。食道癌は肋骨に囲まれた胸の中に発生します。そのため以前は肋骨を切って、大きく胸を開いて手術していました。当院では胸腔鏡手術(内視鏡を使った傷の小さな手術)で癌の切除を行っていますので、肋骨を切ることなく、痛みが少ない体に優しい手術ができるようになりました。野﨑は食道の手術を専門で行う資格(食道外科専門医)を取得しています。


腹腔鏡下胃癌手術

胃癌に対しては低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に導入しています。胃癌治療ガイドラインに沿ってStageⅠの症例を腹腔鏡手術の適応としており、胃の下側2/3程度を切除する幽門側胃切除だけでなく、噴門側胃切除や胃全摘といったやや難易度の高い術式も腹腔鏡での手術が可能です。ほとんどの手術では再建も腹腔内で行っているため、切除した胃を取り出すために臍の創のみ3-4cmの切開となりますが、その他は1cm 程度の小さな創での手術が可能です。このため、開腹手術に比べて術後の疼痛が軽いことや腸蠕動の回復が早いこと、癒着が少ないことなどのメリットがあります。また、野﨑・松村は日本内視鏡外科学会の技術認定医(胃)を取得しています。


機能温存手術

以前は胃の入り口付近に小さな癌ができても胃を全摘していました。これは逆流防止弁(噴門)が手術で切除されるため、胃を残しても術後にひどい逆流性食道炎が起きて患者さんが大変だったからです。当院ではこのような症例に対して、腹腔鏡手術で胃の上側1/2だけを切除し、逆流防止弁も作成する手術(噴門側胃切除と観音開き法再建)を行っています。胃が残りますので食事摂取量が多く逆流性食道炎も予防できます。


食道胃接合部癌手術

食道と胃の中間(食道胃接合部)にできる癌が最近増えています。これは食事が欧米化したことや肥満の人が増えたことと関係があるといわれています。食道癌なら胸の手術、胃癌なら腹の手術とはっきり分けることができますが、この癌は胸部にも腹部にも癌が広がっているため、より専門性の高い技術や知識が必要です。当院ではこのような癌に対しても専門の医師が胸腔鏡と腹腔鏡を組み合わせた体に優しい切除手術を行っています。


その他の腹腔鏡手術

胃粘膜下腫瘍はリンパ節郭清の必要がないため、症例によっては術中に内視鏡で腫瘍に沿って切離ラインをつけた後に腹腔鏡を用いて病変の切除を行う腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除(LECS)を行っており、良好な成績を収めています。また、胃食道逆流症(GERD)や食道裂孔ヘルニアなどの食道良性疾患に対しても腹腔鏡手術を行っています。