平成29年6月 当院で去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対する治療を開始しました。
まず、去勢抵抗性前立腺がんとは、男性ホルモンの分泌を抑える治療を実施しても症状が悪化する前立腺がんのことです。この状態の転移した骨を治療するお薬として、ゾーフィゴ®静注を使用します。
ゾーフィゴ®静注には、アルファ線と呼ばれる放射線を出す「ラジウム-223」という放射性物質が含まれています。
このラジウム-223には、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性質があり、注射で体内に送られると、代謝が活発になっているがんの骨転移巣に多く運ばれます。そして、そこから放出されるアルファ線が、骨に転移したがん細胞の増殖を抑えます。
アルファ線とは、エネルギーが高く、細胞を破壊する力が強いという特徴があります。 しかし、アルファ線の力が届く距離は0.1ミリ未満と短いことから、正常細胞に影響を及ぼすことは比較的少ないとされています。
このような作用によって、去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対して治療効果が期待できます。
泌尿器科の主治医が、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの治療にゾーフィゴ®静注が望ましいと判断された場合に放射線科RI室で施行されます。薬剤の投与が月1回で、6ヶ月継続して行います。外来での治療が可能です。
患者様の状態や病気の種類によって適応・不適応がございますので、まずは主治医の先生にご相談ください。